塗料(分類)

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 JIS Z 0103「防せい防食用語」,JIS K 5500「塗料用語」,JIS H 0201「アルミニウム表面処理用語」の用語定義の中から,塗料の種別,分類に関する用語を抜粋したもの及び塗料用語辞典(色材協会),塗料原料便覧(日本塗料工業会)などを参照したSEKIGIN独自の解説を紹介します。

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用語 対応英訳 定義・解説 出典
塗料 coating material, coating 素地に塗装したとき,保護的,修飾的,又は特殊性能をもった膜を形成する液状,ペースト状,又は粉末状の製品。
流動状態で物体の表面に広げると薄い膜となり,時間の経過につれてその面に固着したまま固体の膜となり,連続してその面を覆うもの。
塗料を用いて,物体の表面に広げる操作を塗るといい。固体の膜ができる過程を乾燥といい。固体の皮膜を塗膜という。
流動状態とは,液状,融解状,空気懸濁体などの状態を含むものである。顔料を含む塗料の総称をペイントということがある。
備考:ISO用語規格では,“coating material”をここに定義される塗料として,また,“coat”を塗膜として定義している。BS用語規格も同様に“coating material”を塗料,“coat”を塗膜とするほか,“coating”を塗装として定義している。
しかし,ASTMでは,“coating”をここに定義する内容の塗料として定義しており,また,一般には,“coating”を塗料の意味で用いる場合が多いので,対応英語は,“coating material”だけでなく,“coating”を併記した。
K5500
ペイント paint 素地に塗付したとき,保護,装飾又は特殊な性能を持つ不透明膜を形成する,液状,ペースト状又は粉末状の顔料を含む塗料。
備考:広義では,顔料を含む塗料の総称。狭義では,顔料をボイル油で練り合わせて作った塗料をいう。
K5500
ライニング lining 金属の表面を防食するため,その表面に,他の複合材料を比較的厚く被覆すること。金属・無機物質などを溶射,焼き付け,はり合わせなどで被覆する無機質ライニングと,有機物質を流動浸せき,溶射,塗布,はり合わせなどで被覆する有機質ライニングとがある。 Z0103
塗膜形成要素 film former, film forming material 塗膜を形成するための主成分。
例:油性塗料の乾性油,ニトロセルロース塗料のニトロセルロース,セラニックニスのセラックなど。
K5500
展色材 vehicle 塗膜形成(構成)要素の一つで,塗膜の主体となる樹脂で,バインダー(binder)ともいう。また,液相の構成成分についてはビヒクル(vehicle, medium)ともいう。
由来により油類,天然油脂,合成樹脂,繊維素誘導体,架橋剤・硬化剤などに分類される。
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バインダー binder 顔料を結合(bind)し,膜を形成するビヒクルの不揮発性部分。 K5500
ビヒクル vehicle, medium 塗料の液相の構成成分の総称。
備考:1.この定義は粉体塗料には適用しない。
2.ISOの用語規格では,“vehicle”と“medium”とは同義としている。
K5500
重合反応(じゅうごうはんのう) polymaerization 重合体(ポリマー)を合成することを目的にした一群の化学反応の呼称である。また重合反応はその元となる反応の反応機構や化学反応種により細分化され,区分された反応名に重または重合の語を加えることで重合体合成反応であることを表す。
次に主な重合反応の分類には,反応点による分類{連鎖重合(連鎖反応),逐次重合,リビング重合},反応機構による分類{付加重合(付加反応),重縮合(縮合重合,縮合反応),付加縮合},化学反応種による分類{ラジカル重合(ラジカル反応),イオン重合(イオン反応:カチオン重合,アニオン重合),配位重合,開環重合},共重合体の単位構造配列による分類{ランダム共重合体,交互共重合体,ブロック共重合体,グラフト共重合体}などがある。
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付加反応(ふかはんのう) addition reaction 多重結合が解裂し,それぞれの端が別の原子団と新たな単結合を生成する反応である。 編集
縮合重合(しゅくごうじゅうごう) condensation polymerization,polycondensation 複数の化合物(特に有機化合物)が,互いの分子内から水 (H2O) 分子などを取り外しながら結合(縮合)するとともに,連鎖的に結合し高分子が生成(重合)すること。
重縮合,縮重合ともいい,逐次重合(反応点がモノマーに存在する場合を逐次重合という。)に属する。 Pn + Pm → Pn+m + X
例えば、ポリアミド樹脂(ナイロン),ポリエステル樹脂 (PET),フェノール樹脂,尿素樹脂,メラミン樹脂,ポリカーボネート樹脂などが縮合重合による生成物である。
通常可逆反応であるため,収率向上を目的に平衡を生成物側に偏らせる反応条件が選択される。 例えば,反応系内の脱離基成分を減圧して水やアルコール成分を系外に除去するなどの方法がある。
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重付加(じゅうふか)   狭義には付加反応による逐次重合する反応。
付加重合(ふかじゅうごう)とも呼ばれる。大きく分けて活性水素をもつヘテロ原子の基が多重結合などに付加する水素移動型重付加とペリ環状反応で多重結合が付加する電子移動型重付加とがある。 水素移動型重付加には,ポリウレタン(ウレタン樹脂),エポキシ樹脂が,電子移動型重付加には,環状ポリオレフィン樹脂がある。広義には,付加縮合,ラジカル重合,イオン重合も重付加の範疇に入る。
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付加縮合(ふかしゅくごう)   付加反応と縮合反応を繰り返して重合体を与える反応の呼称。
代表的な重合体には,フェノール樹脂(ベークライト),尿素樹脂(ユリア樹脂),メラミン樹脂がある。これらの樹脂は形成後の熱処理により付加縮合が進行し,架橋構造が形成されて硬化する。
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合成樹脂塗料 synthetic resin coating 合成樹脂を塗膜形成集要素とする塗料の総称。 K5500
油性塗料 oil paint 塗膜形成要素の主成分が乾性油である塗料の総称。 K5500
水性塗料 water paint, water-based paint 水で希釈できる塗料の総称。
水溶性又は水分散性の塗膜形成要素を用いて作る。粉状水性塗料,合成樹脂エマルションペイント,水溶性焼付塗料,酸硬化水溶性塗料などがある。
K5500
水溶性樹脂塗料 water soluble resin peint, water soluble resin coating 塗膜形成要素として水溶性樹脂を用いて作った塗料。
塗膜形成の際に樹脂が硬化して水に不溶性の塗膜ができるものが多い。
K5500
粉体塗料 powder coating material, coating powders, coating powder 溶融して,硬化した後に連続する膜を形成する,溶剤を含まない粉末状の塗料。
通常,樹脂,顔料及びその他の添加剤からなり,適切な素地に粉状のまま塗装される。
K5500
調合ペイント ready-mixed paint 特にボイル油を加える必要がなく,かき混ぜて一様にすれは,はけですぐ塗れるように製造したペイント。
油性調合ペイント,合成樹脂調合ペイントなど。旧JIS K 5511,JIS K 5516参照。
K5500
ハイソリッド塗料 high-solids 適切な成分を選択することによって,揮発成分をできるだけ低く抑え,かつ,満足できる塗装作業性を維持している塗料の総称。 K5500
ハイビルド塗料 high-build 1回の塗装で,通常よりも厚い塗膜が得られる塗料の総称。
ハイビルドは,チキソトロピー,低揮発分又は低粘度成分の化学反応による硬化によって達成される。
K5500
焼付け塗料 baking finish 生地に塗ってから加熱して塗膜が形成できるように作った塗料。
加熱の温度は,通常100℃以上とする。ASTM,BSでは強制乾燥(66℃以下)より高い温度とする。
K5500
エマルションペイント amulsion pain, latex paint 水中に分散した有機バインダーをビヒクルとして作った塗料。
備考:厳密には,ボイル油,油ワニス,樹脂などを水中に乳化して作った液状物をビヒクルとして用いら塗料をエマルションペイント,乳化重合で得た合成樹脂エマルション(ラテックス)をビヒクルとして作った塗料をラテックスペイント(JISでは合成樹脂エマルションペイントという。)と区別する。しかし,ASTMは,この両者を厳密に分離しているが,ISO及びBSでは,ここに示したこの両者を含む共通の定義を与えて,両者を同義語としている。
K5500
合成樹脂エマルションペイント latex paint, emulsion paint, synthetic resin emulsion paint 水中に分散した有機バインダーをビヒクルとして作った塗料。
備考:厳密には,ボイル油,油ワニス,樹脂などを水中に乳化して作った液状物をビヒクルとして用いら塗料をエマルションペイント,乳化重合で得た合成樹脂エマルション(ラテックス)をビヒクルとして作った塗料をラテックスペイント(JISでは合成樹脂エマルションペイントという。)と区別する。しかし,ASTMは,この両者を厳密に分離しているが,ISO及びBSでは,ここに示したこの両者を含む共通の定義を与えて,両者を同義語としている。JIS K 5663参照
K5500
ワニス vernish 樹脂などを溶剤に溶かして作った塗料の総称。
顔料は含まれていない。塗膜は概して透明である。
備考:1.ISO用語規格では,“ワニスはクリヤー塗料の一種。主に酸化乾燥によって透明塗膜を形成するクリヤー塗料をワニスという。”と定義している。クリヤー塗料の項参照。
2.BS用語規格では,“ワニスは,主に樹脂及び/又は乾性油から作られる透明塗料。”と定義している。
3.ASTM用語規格では,“ワニスは,薄い層に塗ったとき透明な又は,半透明な個体膜を形成する液状組成物。”をいい,ビチューミナスワニス,油ワニス,スパーワニス,揮発性ワニスなどを含めている。
K5500
クリヤ塗料 clear coating meterial, clear coating 素地に塗装したとき,保護的,修飾的,又は特殊性能をもつ個体で,透明な膜を作る塗料。原料を含まない。
備考:主に酸化によって乾燥するクリヤ塗料は,ワニスという。
K5500
プライマー primer 塗料を塗り重ねて塗膜層を作るとき,耐食性と付着性とを増すために素地に直接塗る塗料。 Z0103
プライマー primer 塗装系の中で素地に初めに用いる塗料。
プライマーは,素地の種類や塗装系の種類に応じた各種のものがある。
K5500
プライマ wash primer, etching primer 金属素地に定着し,上塗り塗料との密着性を向上させるための下地塗料。 H0201
さび止めペイント rust resisting paint, high performance coating 鉄鋼のさび止め塗装に用いる塗料。
さび止め顔料と塗膜形成要素との相互作用で,さび止め効果を現すものと,塗膜形成要素自体のさび止め効果によるものとがある。
Z0103
さび止めペイント anticorrosive paint, rust inhibiting paint, anti-corosive composition 金属素地を腐食から守るために用いる塗料。
さび止め顔料と塗膜形成要素との相互作用で,さび止め硬化を表すものと,塗膜形成要素自体のさび止め効果によるものとがある。前者には,用いるさび止め顔料の名称を付けて呼ぶのが通例である。
K5500
下塗り塗料 undercoat, priming coat 塗料を塗り重ねて塗装仕上げするときの下塗に用いる塗料。
塗装系に対する素地の影響を防止し,付着性を増加させるために用いる。
備考:1.ISO用語規格では,“undervoat”と“intermediate coat”とは同じ定義で,“地肌塗り(priming coat)”と“上塗り(finishing coat)”との間の塗料(coat)をいう。また,“priming coat”は,素地に塗る塗装系の最初の塗料(coat)をいう。
2.BS用語規格及びCEDでは“undercoat”は,上塗り塗料を塗る前に,目止め,肌直し,地肌塗りなどを行った素地面,又は素地調整を行った旧塗膜面に塗装される塗料をいう。
K5500
中塗り塗料 intermediate coat, undercoat 塗料を塗り重ねて塗装仕上げをするときの,中塗りに用いる塗料。
下塗り塗膜と上塗り塗膜との中間にあって,両者に対する付着性をもち,塗装系の耐久性を向上させる目的に用いるもの,下塗り塗面の平滑さの不足を補うために用いるものなどがある。後者では,塗膜が厚くて研磨しやすいことが特徴である。
備考:1.ISO用語規格では,“intermediate coat”と“undercoat”とは同義で,“地肌塗り(priming coat)と上塗り(finishing coat)の間のコート(coat)”をいう。
2.BS用語規格及びCEDでは,“undercoat”は,上塗り塗料を塗り前に,目止め,肌直し,地肌塗りなどを行った素地面,又は素地調整を行った旧塗膜面に塗装される塗料をいう。
K5500
上塗り塗料 top coat, topcoat, finishing coat 塗料を塗り重ねて塗装仕上げをするとき,上塗りに用いる塗料。
備考:1.ISO用語規格では,“top coat”と“finishing coat”とは同義語で,“塗装系の最終の塗料(coat)”をいう。
2.CEOでは,“topcoat”は“通常プライマー,アンダーコート,又は素地に直接塗装される塗装系の最終塗膜に用いる塗料”をいう。
3.上塗りは,1回又はそれ以上塗られることもある。また,ある種の系では,上塗りが素地に直接1回又はそれ以上塗装されることもある。
K5500
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