塗料製造に用いる添加剤等の補助剤

 JIS K 5500「塗料用語」の用語定義の中から,塗料に用いられる硬化剤,添加剤などの補助剤に関する用語を抜粋しものを紹介します。なお,解説中の“参考追記:”は,JIS用語規定を分かりやすくするため,SEKIGIN担当者が追記した内容です。
 なお,解説中の“参考追記:”は,JIS用語規定を分かりやすくするため,SEKIGIN担当者が追記した内容です。
用語 対応英訳 定義・解説 出典
添加剤 additive 塗料に少量添加して,その性質の一つ若しくはそれ以上を改善又は変性する物質。
参考追記:可塑剤,沈殿防止剤,その他改質剤などがある。
実用される材料には,アルキルアミン,ジブチルフタレート,ステアリン酸アルミニウム,ベントナイト,メチルセルロース,シリコーン,界面活性剤,ナフテン酸金属石鹸などがある。
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硬化剤 hardener, curing agent 塗料の硬度の増進又は硬化反応を促進若しくは制御するために用いられる橋かけ剤,樹脂,その他の変性剤。
備考:常温硬化形塗料では,エポキシ樹脂(※1)塗料におけるアミンアダクト及びポリアミド樹脂,ポリウレタン樹脂塗料におけるポリイソシアネート類は,架橋反応によって硬化する硬化剤の代表的な例である。また,酸硬化形アミノ樹脂塗料における有機酸又は無機酸などの酸触媒,不飽和ポリエステル樹脂塗料の過酸化物(重合開始剤)とナフテン酸コバルト(促進剤)なども硬化剤ということがある。
参考追記:(※1)エポキシ樹脂とは,分子中にエポキシ基を2個以上含む化合物を重合して得た樹脂状物質のことです。エピクロルヒドリンとビスフェノールとを重合して作ったものなどがあります。
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促進剤 accelerator 塗料に少量添加して反応,例えば,架橋反応を促進する物質。 K5500
可塑剤 plasticizer 乾燥した膜に伸び,タフネス,たわみ性を与えて塗膜の性能を向上させるために塗料に添加される物質。塗膜形成要素と相容性のある不揮発性又は難揮発性の液体又は固体の物質を加える。主に,揮発乾燥性塗料の製造に用いる。JIS K 6900「プラスチック―用語」プラスチック産業において使用されている用語が英語及びフランス語で定義されています。 K5500
用語 対応英訳 定義・解説 出典
顔料分散剤   ビヒクルの中で顔料の表面に吸着されて,顔料のビヒクルに対する湿潤性を増して顔料の分散性を助長する薬剤。 JIS K 3211 参照。
参考追記:ステアリン酸亜鉛(zinc stearate):ステアリン酸(※1)の亜鉛石けん。顔料の分散剤・沈降防止剤としてペイント類の製造に,塗膜を研ぎやすくするためにサイジングシーラーの製造に,それぞれ用いる。
ステアリン酸アルミニウム(aluminum stearate):ステアリン酸(※1)のアルミニウム石けん。顔料の分散剤・沈降防止剤として塗料の製造時に加える。
(※1)JISK8585「ステアリン酸(試薬)」ステアリン酸の性状としては,白い結晶性粉末,フレーク状又は粒状で,ジエチルエーテルに溶けやすく,エタノールにやや溶けやすく,水にほとんど溶けないという性質があります。
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ステアリン酸アルミニウム aluminium stearate ステアリン酸のアルミニウム石鹸。
顔料の分散剤・沈降防止剤として塗料の製造時に加える。
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ドライヤー drier, siccative 通常,有機金属化合物で有機溶剤及びバインダーに可溶,酸化乾燥する塗料の乾燥過程を促進するために添加する化合物。主成分は鉛,マンガン,コバルトなどの金属石けん。液状ドライヤー,のり状ドライヤーなどがある。水可溶性の乾燥剤も存在する。 K5500
酸化防止剤 antioxidant, oxidation inhibitor 酸化による塗膜の老化を防ぐために用いる物質。
また,貯蔵中に塗料の酸化を防ぎ,若しくは塗装後の乾燥を遅らせる物質をいい,又は酸素が他の酸化しやすい物質と反応するのを防ぐ物質で,その過程では多くはその物質自体は酸化する(BS)。
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流れ止め剤 antisagging agent, antisag agent, antirunning agent 塗装したとき,塗膜にたるみ(※1)を生じる傾向を減少させるために塗料に配合する物質。
塗料に適切な流展性を与える増粘剤が多く用いられ,溶剤形塗料には有機ベントナイト,金属石けん,ホワイトカーボン,脂肪酸アマイドなどが,水系塗料にはベントナイト,ポリビニルアルコール,カルボキシセルロース,ヒドロキシエチルセルロースなどが用いられる。
参考追記:(※1)たるみとは,たれとも言われ,垂直又は傾斜した面に塗料を塗ったとき,乾燥までの間に,塗料の層が下方に移動して起こる局部的な膜厚の異常のことです。半円状,つらら状,波状又はカーテンのひだ状などになる現象をいいます。厚く塗り過ぎたとき,塗料の流動特性の不適,大気状態の不敵などによって起こりやすい現象です。
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皮張り防止剤 anti-skinning agent, antiskinning agent 塗料が容器の中で空気との接触面に皮を張るのを防ぐために用いる塗料用の添加剤。主として酸化防止剤。通常,揮発性のものが使用される。 K5500
界面活性剤 surface active agent, surfactant 液体に溶け,界面に吸着して界面の性質を変える物質。塗料では分散,湿潤,泡消しなどを助長するのに用いる。JIS K 3211「界面活性剤用語」界面活性剤工業において用いられる主な用語及びその定義について規定されています。 K5500
つや消し剤 flatting agent 塗膜のつやを減少させるために塗料に加える材料。
参考追記:つや(ツヤ,艶)とは,物体の表面から受ける正反射光成分の多少によって起こる感覚の属性のことです。一般に,正反射光成分が多いときに,つやが多いといいます。
塗膜では,光沢度計を用いて,入射角・反射角を45度・45度,60度・60度などとして鏡面光沢度を測定して,つやの大小の目安とします。塗膜のつやを表す用語には,高光沢(high gloss):光沢が高い状態,つやあり(glossy):塗膜のつやがある状態,エッグシェル(卵殻)光沢(eggshell gloss):卵の殻の表面のような半つやに近い状態,つやなし(つや消し)(flat,matt):塗膜のつやがない状態,しゅす(繻)つや(satin gloss):絹のようなつや。
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水性目止め剤 water base filler 水溶性の木材用目止め剤。
水性のビヒクル(※1)で充てん顔料・着色顔料を練り合わせて作る。
(※1)ビヒクルとは,塗料の液相の構成成分の総称です。
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