塗装(塗膜物性)

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 JIS Z 0103「防せい防食用語」,JIS K 5500「塗料用語」,JIS G 0203「鉄鋼用語(製品及び品質)」,JIS H 0201「アルミニウム表面処理用語」の用語定義の中から,塗装された塗膜の物性,耐久性に関連した用語を抜粋したもの,及び塗料用語辞典(色材協会),塗料原料便覧(日本塗料工業会)などを参照したSEKIGIN独自の解説を紹介します。

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用語 対応英訳 定義・解説 出典
塗膜 coat, film, paint film 塗られた塗料が乾燥してできた固体皮膜。
備考:ISO(国際規格) 用語規格では,単一の(1回の)塗装でできる塗料の連続層を“coat”,素地に1回又はそれ以上塗装してできる連続層を“film”と定義。
K5500
塗膜 paint film 塗布した塗料が乾燥してできた膜。 H0201
塗面 painted surface, surface of paint film 塗膜又は塗膜層の表面。 K5500
耐久性 durability 物体の保護,美装など,塗料の使用目的を達成するための,塗膜の性質の持続性。 K5500
耐食性 corrosion resistance 金属が腐食に耐える性質。 Z0103
耐食性 corrosion resistance ある環境における腐食作用に耐える性質。 G0203
耐食性 corrosion resistance 腐食性物質を含む環境にさらされたときに耐える性質。アルカリ耐食性,酸耐食性,塩水耐食性などがある。 H0201
耐食性 corrosion resistance ある環境における腐食作用に耐える性質。 G0203
耐候性 weathering resistance 低合金鋼などが自然環境の大気中で腐食に耐える性質。 塗装鋼板及び塩化ビニル被覆鋼板では樹脂の劣化に耐える性質も含む。 G0203
耐候性 weather resistance, weather-fastness 自然条件の影響を受けて,時間の経過に伴って起こる材料の物理的及び化学的変化に耐える性質。 H0201
耐候性 weather resistance 屋外で,日光,風雨,露霜,寒暖,乾湿などの自然の作用に抵抗して変化しにくい塗膜の性質(JIS K 5600-7-6参照)。 K5500
耐海水性 corrosion resistance in sea water 海水と接触する環境における腐食作用に耐える性質。 G0203
耐塩水性 salt water resistance 食塩水の作用に対して変化しにくい塗膜の性質。「耐液体性」参照 K5500
耐水性 water resistance, waterproof 塗膜が,水の化学的作用又は物理的作用に対して変化しにくい性質。
試験片を水に浸して,しわ,膨れ,割れ,はがれ,つやの減少,曇り,変色などの有無や程度を調べる耐水試験がJIS K 5600-6-2「塗料一般試験方法-第6部:塗膜の化学的性質-第2節:耐液体性(水浸せき法)」に規定されている。
K5500
耐薬品性 chemical resistance 塗膜が酸,アルカリ,塩などの薬品の溶液に浸しても変化しにくい性質。
JIS K 5600-6-1「塗料一般試験方法-第6部:塗膜の化学的性質-第1節:耐液体性(一般的方法)」の耐薬品試験では,試験片を規定の溶液に浸して,塗膜の変状(しわ,膨れ,割れ,はがれ,色・つやの変化,膨潤,軟化,溶出など)を調べる。
K5500
耐酸性 acid resistance, fastness to acid, acidproof 酸の作用に抵抗して変化しにくい塗膜の性質。「耐液体性」参照 K5500
耐アルカリ性 alkaliproof, alkali resistance アルカリの作用に対して変化しにくい塗膜の性質。「耐液体性」参照 K5500
耐液体性 resistance to liquids 液体の作用に対する,塗料又は関連製品の単一塗膜または多層塗膜系の抵抗性(耐性)。
試験方法は,JIS K 5600-6-1「塗料一般試験方法-第6部:塗膜の化学的性質-第1節:耐液体性(一般的方法)」に規定されている。
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耐沸騰水性 boiling water resistance JIS H0201「アルミニウム表面処理用語」824「耐沸騰水試験」では,塗膜が沸騰水に浸しても変化しにくい性質。
試験片を沸騰水に浸して,塗膜の変状(しわ,ふくれ,割れ,はがれ,つやの減少,曇り,白化,変色など)の程度を調べる。
K5500
耐揮発油性 gasoline resistance 揮発油の作用に対して変化しにくい塗膜の性質。「耐液体性」参照 K5500
耐溶剤性 solvent resistance 塗膜が溶剤に浸しても変化しにくい性質。
JIS K 5600-6-1「塗料一般試験方法-第6部:塗膜の化学的性質-第1節:耐液体性(一般的方法)」の耐溶剤試験では,試験片を規定の溶剤に浸し,塗膜の変状(しわ,膨れ,割れ,はがれ,色・つやの変化,粘着性の増加,膨潤,軟化,溶出など),更に液の着色,濁りの有無・程度を調べる。
K5500
耐油性 oil resistance 塗膜が油類に浸しても変化しにくい性質。
JIS K 5600-6-1「塗料一般試験方法-第6部:塗膜の化学的性質-第1節:耐液体性(一般的方法)」の耐油試験では,試験片を規定の油に浸し,塗膜の変状(しわ,膨れ,割れ,はがれ,色・つやの変化,粘着性の増加,膨潤,軟化,溶出など),更に油の着色,濁りの有無を調べる。
K5500
耐熱性 heat resistance, heat-resisting property, thermal resistance 塗膜が加熱されても変化しにくい性質。
試験片を規定の温度に保ち,塗膜の泡,膨れ,割れ,はがれ,つやの減少,色の変化などの有無や程度をJIS K 5600-6-3「塗料一般試験方法-第6部:塗膜の化学的性質-第3節:耐加熱性」に従い調べる。
K5500
耐屈曲性 flexibility 塗膜が素地の変形に対し,塗膜の損傷なしで追従する性能。
屈曲試験では,薄い試験板に塗装された試験片の塗膜を外にし,試験板の内側に規定される丸棒を当てて180度折り曲げた後,塗膜に表面の割れ等の損傷を調べる。具体的な試験方法は,JIS K 5600-5-1「塗料一般試験方法-第5部:塗膜の機械的性質-第1節:耐屈曲性(円筒形マンドレル法)」に規定されている。
K5500
耐衝撃性 impact resistance, shock resistance, chip resistance 塗膜が物体の衝撃を受けても破壊されにくい性質。
試験片の塗面におもりを落下させて,割れ・はがれの有無を調べる衝撃試験がJIS K 5600-5-3「塗料一般試験方法-第5部:塗膜の機械的性質-第3節:耐おもり落下性」に規定されている。
K5500
耐洗浄性 washability 塗膜の特性を損ねないでじんあい,汚れ,表面のしみなどを除去できる洗浄の容易さ,洗浄したとき摩耗・損傷されにくい塗膜の性質。
エマルションペイント,水性塗料などについて試験する。汚染除去の容易さを cleanability,塗膜の摩耗・損傷のしにくさを wet-scrub resistance といい,それぞれについてJIS K 5600-5-11「塗料一般試験方法-第5部:塗膜の機械的性質-第11節:耐洗浄性」に試験法が定められている。
K5500
付着性 adhesive property, adhesion 塗膜が下地面に付着して離れにくい性質。 K5500
付着強さ adhesive strength 乾燥した塗膜と素地との間の付着力の総和。
付着強さの評価には,JIS K 5600-5-6「塗料一般試験方法-第5部:塗膜の機械的性質-第6節:付着性(クロスカット法)」,JIS K 5600-5-7「塗料一般試験方法-第5部:塗膜の機械的性質-第7節:付着性(プルオフ法)」が用いられる。
規格に従い試験した際に,塗膜と素地との間以外に,塗膜層間からの破断,塗膜層内での破断が起き,厳密な意味での素地との間の付着力を得ることは困難である。
K5500
付着性 adhesive property 塗膜が下地面に付着して離れにくい性質。 H0201
適合性(製品と素地の) compatibility (of products with substrate) 素地に対する製品の適合性。素地に塗装したとき,製品の性能又は素地の性質のいずれにも悪影響を及ぼさずに固着した乾燥塗膜を形成する能力。 K5500
適合性(塗装系中の製品の) compatibility (of products in paint system) 2種類又は2種類以上の塗料を,はがれ(※1),ふくれ(※2)のような悪影響を生じさせないで一つの塗装系に組み合わせることができる能力。
(※1)はがれとは,付着性が失われてある広さの塗膜が自然に分離する現象。混同されやすい用語にはく離がある。はく離は,強制的に分離することで,異なる現象である。
(※2)ふくれとは,塗膜に泡が生成する現象。水分・揮発成分・溶剤を含む面に塗料を塗ったとき,或いは塗膜形成後に,下層面にガス,蒸気,水分などの発生・浸透により蓄積したときなどに起る。
K5500
重ね塗り適合性 recoatability 乾燥した塗膜の上に,同じ塗料を塗り重ねたときに,塗装上の支障が起こらず,正常な塗り重ね塗膜層が得られるための塗料の性状。 K5500
上塗り適合性 overcoatability ある塗料の塗膜の上に,決められた塗料を塗り重ねたときに,塗装上の支障が起こらず,正常な組合せ塗膜層が得られるための,塗り重ねられる下地塗膜の性状。 K5500
硬度(硬さ) hardness 物質,材料の特に表面または表面近傍の機械的性質の一つ。
塗膜の硬度は,厚みが1mm以下と薄いため,参考の項に示す金属やゴムで採用されている押し込み法では,塗膜の変形以外に素地の影響が大きく計測困難である。このため,塗膜の硬度は,引っかき法を用いて評価されている。試験方法の規格には,JIS K 5600-5-4「塗料一般試験方法-第5部:塗膜の機械的性質-第4節:引っかき硬度(鉛筆法)」,JIS K 5600-5-5「塗料一般試験方法-第5部:塗膜の機械的性質-第5節:引っかき硬度(荷重針法)」がある。
参考:硬さの概念は,数値化して表現しようとする場合の試験方法の定義により様々な値を取る。硬さ試験では,金属,セラミックス,ゴムなどの材料特性により微小な変形を与える力に対する挙動がそれぞれ異なる。
材質により,ブリネル硬さ(押し込み),ビッカース硬さ(押し込み),ヌ―プ硬さ(押し込み),ロックウェル硬さ(押し込み),バーコール硬さ(押し込み),モノトロン硬さ(押し込み),ショア硬さ(反発硬さ),鉛筆硬さ(引っかき),マンテルス硬さ(引っかき)などがある。
K5500
引っかき硬度 scratch hardness 塗膜の硬さの一種。
JIS K 5600-5-5「塗料一般試験方法-第5部:塗膜の機械的性質-第5節:引っかき硬度(荷重針法)」では,試験に用いる針(先端が規定の径の半球状の鋼球,タングステンカーバイト球,ルビー又はセラミックス球からなる)に規定の荷重を掛けて引っかき,塗膜の表面の傷つきの程度で評価する。JIS K 5600-5-4「塗料一般試験方法-第5部:塗膜の機械的性質-第4節:引っかき硬度(鉛筆法)」では,針の代わりに硬度の異なる鉛筆のしんを用いて行う。
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