塗装(初期変状)

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 JIS Z 0103「防せい防食用語」,JIS K 5500「塗料用語」,JIS H 0201「アルミニウム表面処理用語」の用語定義の中から,塗装後の初期に現れる塗膜変状(ピンホール,しわ,白化など)に関連した用語を抜粋したものを紹介します。

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用語 対応英訳 定義・解説 出典
塗り残し holidays, misses, vacations ある大きさで全く塗れていない被塗面ができる状態。 K5500
はじき cissing, crawling 塗面の表面が不均一で,その分布とその程度が一様でない現象。下地面と塗料との間の表面張力の不均等などによって起こる。
備考:crawling は cissing の極端な形である。
K5500
リフティング lifting, raising 次の塗料を塗ったことによって乾燥塗膜の軟化,膨潤(※1)して素地から浮き上がる現象。この欠陥は,下層塗膜の塗膜形成要素(※2)に対する上層塗料の溶剤の作用によって塗装又は乾燥の間に発生する。
(※1)膨潤とは,液体又は蒸気を吸収し,その結果,膜の体積が増加する現象。
(※2)塗膜形成要素とは,膜を形成するための主成分のことです。例えば,油性塗料の乾性油,ニトロセルロース塗料のニトロセルロース,セラック二スのセラックなどがあります。
K5500
ピンホール pinhol 被膜を貫いて,素地や下地まで達している微細孔。 Z0103
ピンホール pinholing, pinholes 塗膜に針で作ったような小さな孔がある欠陥。
肉眼で見分けられる程度の小さな孔をいう。
K5500
フィッシュアイ fish eyes 塗膜にできる中心に小粒子の異物があるクレーター(へこみ)。 K5500
マドクラック,泥状割れ mud cracking, mudcracking 乾燥中に生じる深い割れ。主に顔料成分の非常に多い塗料を多孔質の素地に厚く塗装したときに起こる。 K5500
泡(塗膜の) bubbling, bubble 塗った膜の中の一時的又は永続的な泡。塗料を塗ったときにできた空気若しくは溶剤蒸気又はその両者の泡が消えないで残ったものが多い。 K5500
ガスチェッキング gas checking, gas crazing 塗料が乾燥するときに,燃焼生成ガスの影響で塗面に半透明で微細なしわ,割れ(チェッキング(※1))などが生じる現象。
(※1)チェッキングとは,多少規則的に乾燥膜の表面に分布する微細な割れを特徴とするわれの形態の一つです。割れの深さは,上塗り塗膜の底に達していません。
K5500
はけ目 brush marks, brush mark 流展性の悪い塗料をはけで塗ったとき,はけ目が消えずに残る現象。ロビネスの項参照。 K5500
くぼみ pitting, depression 塗料を塗ったときに,塗膜にできた小さなへこみ。塗膜の欠陥の一つ。 K5500
へこみ cratering 乾燥後の膜の表面にできる小さな円形のくぼみ。 K5500
しわ wrinkling, crinkling, shrivelling, rivelling 乾燥中に塗膜に発生するしわ。通常は上乾きが著しいときに,表面の面積が大きくなってできる。
しわには,平行線状,不規則線状,ちりめんじわ状などがある。“ちぢみ”とはいわない。
K5500
たるみ,たれ sags, sagging 垂直又は傾斜した面に塗料を塗ったとき,乾燥までの間に,塗料の層が下方に移動して起こる局部的な膜厚の異常。半円状,つらら状,波状又はカーテンのひだ状などになる現象をいう。厚く塗り過ぎたとき,塗料の流動特性の不適,大気状態の不敵などによって起こりやすい。
備考:小さな sags は流れ(runs),涙滴(tears),小滴(droplets)と呼ばれ,幅広のカーテンのひだ状の外観を呈する大きな sags はカーテン(curtains)と呼ばれる。
K5500
糸引き cobwebbing 吹付け塗りのとき,塗料が糸状になってスプレーガンから出る現象。 K5500
膨潤 swelling 液体又は蒸気を吸収し,その結果,膜の体積が増加する現象。 K5500
ゆず肌 orange peel オレンジの表面の肌に似ている感じの塗膜の外観。吹付け塗りのときに,塗料の流展性の不足によって起こる塗料又は塗装上の欠陥。蒸発の遅い溶剤を添加するか,うすめ方を多くすれば,ゆず肌は少なくなる。塗膜について,”みかん肌”というのは適切ではない。 K5500
ゆず肌 orange peel ゆずの実の表皮のような小さなくぼみのある塗膜の外観。オレンジピールともいう。 H0201
汗かき sweating, exudation 塗料の液状成分の一つ又はそれ以上が,乾燥した塗膜の表面にしみ出してくる現象。また,研ぎ下ろした乾燥塗膜につやが現れる現象をいう。 K5500
白化,かぶり blushing 塗料の乾燥過程で起こる塗膜の白化現象(ミルク状の乳白色を呈する現象)。溶剤の蒸発で空気が冷やされ,その結果,凝縮した水分が塗料の表層に浸入し,又は溶剤の蒸発中に混合溶剤間の溶解力の均衡が失われて,塗膜成分のどちらかが析出するために起こる。通常,ラッカーなど揮発乾燥形塗料に起こりやすい。高湿で起こるものを”moisture blushing”といい,セルロース誘導体が析出する現象を”cotton blushing”といい,樹脂が析出する現象を”gum blushing”という。 K5500
流れ runs, tears, droplets 小さなたるみ(※1)。不均等な垂直表面に塗ったとき,例えば,割れ,あななどに塗料が過剰に集まり,余った塗料が周囲の流動が止まってからも流動して起きる下方への細かい塗料層の移動。移動距離の短いものは tears 又は droplets と呼ばれることもある。たるみの項参照。
備考:流れは,吹付け塗りの際,各表面の膜厚の調整が難しいナット,ボルトなどの複雑な部位の周りで起こることが多い(CED)。
(※1)たるみとは,垂直又は傾斜した面に塗料を塗ったとき,乾燥までの間に,塗料の層が下方に移動して起こる局部的な膜厚の異常のことです。半円状,つらら状,波状又はカーテンのひだ状などになる現象をいいます。厚く塗り過ぎたとき,塗料の流動特性の不適,大気状態の不敵などによって起こりやすくなります。
K5500
カーテン curtains, curtaining 垂直又は傾斜した面に塗料を塗ったとき,乾燥までの間に,塗料の層が下方に移動して起こる局部的な塗膜の異常。垂直表面の局部的な範囲に,波状又は幅広のカーテンのひだ(絞り)のような特徴的な外観を呈して現れる。たるみの項参照。 K5500
しま streaking 塗膜にできるしま模様。 K5500
色むら(塗膜の) mottle 塗膜の色が部分的に不均等な状態。塗料の欠陥,塗装の欠陥,塗膜の成分の分解,変質などで起こる。 K5500
色むら irregular colour 仕上がりの色調が品物の部分で異なる外観。 H0201
透け lack of biding 下地が透けて見える現象。一般に隠ぺい力が小さい塗料を用いたり,下塗りと上塗りとの色差が大きいときに起こりやすい。 K5500
光沢むら uneven brightness 皮膜の光沢の不均一。 H0201
つやむら flashing つやなし又は半つや状態の塗面に部分的につやが現れたり,光沢塗面に部分的に光沢不足が起こったりする現象。下地の吸収性の不均など,塗面に対する水分,特定のガス,蒸気などの影響によって起こることが多い。また,特に塗合わせ(塗り継ぎ)に起こることが多い。 K5500
ブロンズ光沢,ブロンジング bronzing 塗膜の表面の色が劣化・変色して古くなったブロンズ状の金属光沢のある外観になる現象。特に,紺,赤,黒の塗膜に起こることがある。 K5500
にじみ bleeding 塗膜の下から着色物質が拡散して汚れや変色を起こす現象。この欠陥を引き起こす物質の例は,歴青質系塗料,木材防腐剤,節からの油性樹脂,有機顔料及びステインなどがある。 K5500
浮き色(塗膜の) flooding 表面全体が一様であるが,顔料粒子が分離して,塗装直後のぬれ塗膜と著しく異なる色が浮き上がってくる現象。
備考:塗料が乾燥する過程で,顔料と顔料との分布が上層と下層とで不均等になり,できた塗膜の色が上層で密になった顔料の色で強められる現象。
K5500
浮きまだら floating 塗料が乾燥する過程で,数種の顔料を混ぜて調色した塗料から,ある顔料が分離して塗料の表面にしま又はまだらな部分を生ずる現象。 K5500
まだら mottle, mottling, mottled appearance 塗面が部分的に,つやがなかったり,ぼかしになったり,不規則な模様になったりしている状態。 K5500
溶出(塗膜の) elution 塗膜を液体に浸したとき,塗膜から成分の一部が溶けて出る現象。 K5500
オフホワイト,白まがい off-white いくぶん黄味がかった白灰色で,白とはいえないが,白のような色。 K5500
曇り clouding, cloudiness, dullness, dulling, hazing 塗膜のつやがなくなる現象。 K5500
しみ spotting, stain 塗面に,他の大部分と違った色が小部分となって発生する現象。異種の物質の混入,侵入,付着などで起こる。 K5500
シルキング silking 乾燥塗膜の表面の上又は中に残された波模様の絹状に見える極めて細かい平行な筋跡。
備考:浸し塗り(※1)若しくは流し塗り(※2)の際の流れの方向に,又は,はけ塗り(※3)の際の最終のはけの運行の方向に現れる現象をいう。
(※1)浸し塗りとは,塗料を入れた槽の中に被塗物を浸した後引き上げる塗り方です。余分の塗料は滴下して除く。
(※2)流し塗りとは,被塗物に塗料を注ぐか又は流し掛けるかのいずれかで塗装し,次いで過剰な塗料のたれ切りを行う塗装方法のことです。
(※3)はけ塗りとは,はけ(ハケ)で塗料を塗る方法です。
K5500
吸込み absorption 塗ったときに,素地又は下層塗膜に塗料が過度に吸収される現象。 K5500
吸込みむら sinkage, sinking in 塗膜が素地に局部的に吸収される現象。主に,つや及び/又は模様の局部的な異常として現れる。 K5500
フロスチング,霧状しわ frosting 塗膜表面にフロスト(霜)状の非常に細かいしわが多量に発生する現象。この現象を意図的に作って装飾模様とすることもある。 K5500
もどり after tack 一度乾燥した塗面に,再び粘着性が現れる性質。
備考:ISO 用語規格では,”正常な乾燥又は硬化した後に粘着性が残る性質”をいう。
K5500
ブロッキング,粘着 blocking 規定の時間乾燥してから,(被塗)物体を,荷重を掛けて重ねたとき,両者の塗膜面の間に生じる望ましくない付着性。JIS K 5600-3-5「塗料一般試験方法-第3部:塗膜の形成機能-第5節:耐圧着性」規定時間乾燥後の単一塗膜,多層塗膜系又は関連材料において,二つの塗膜面間又は一つの塗膜面と他の面が圧着される場合の損傷に対する抵抗性を規定条件下で測定するための試験方法について規定されています。 K5500
ヘーズ haze 膜の表面上又は,すぐ下に形成された散乱する粒子によって,写る映像の輪郭がぼやけて見える現象。 K5500
目やせ grain depression 素地面,下地面の高低,組織などの不均などによって,仕上げ塗面に細かなくぼみができる性質。木材塗装で目やせを防ぐには,素地木材を十分に乾燥した後,露出導管部に目止め剤(※1)を埋め込み,乾燥後よく研磨しておくことが大切であり,木材塗装・金属塗装を問わず,塗り重ねるごとに,塗膜を十分に乾燥し研磨することが必要である。
(※1)目止め剤とは,木材の導管のくぼみを埋め,なお,上塗り塗料がその部分に吸い込まれるのを防止するための塗料補助材料のことです。
K5500
木目の白化 whitening in the grain 主に木目のはっきりした木材で,透明膜が形成されるにつれて現れる白又は銀白色の領域。 K5500
ロピネス ropiness ある種の塗装方法で起こる欠陥。
濡れ塗膜の表面にレべリングが不十分なためにほぼ平行なしまができ,乾燥後もそのまま残る現象。
はけ塗りの際,乾きかけにはけを通して残るはっきりしたかけ目はその典型的な例。
K5500
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