塗料(硬化・乾燥)

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 JIS K 5500「塗料用語」の用語定義の中から,塗膜を形成する過程,すなわち塗料の硬化(乾燥)に関連する用語を抜粋しものを紹介します。なお,解説中の“参考追記:”は,JIS用語規定を分かりやすくするため,SEKIGIN担当者が追記した内容です。

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用語 対応英訳 定義・解説 出典
加熱乾燥 stoving, baking 塗り付けた塗料の層をあらかじめ設定された最低温度で加熱して,バインダーの架橋(分子量を増大)を起こさせて硬化させる工程。
加熱は暖めた空気の対流,赤外線の照射などによる。加熱して乾燥させて得た塗膜は一般に硬い。通常は,66℃(150°F)以上の温度で乾燥する場合をいう
。一般に加熱乾燥の温度範囲と時間は,塗料ごとに規定されている。
K5500
乾燥 drying 塗付した塗料の薄層が,液体から固体に変化する過程の総称。
塗料の乾燥機構には,溶剤の揮発,蒸発,塗膜形成要素の酸化,重合,縮合などがあり,乾燥の条件には,自然乾燥,強制乾燥,加熱乾燥などがある。また,乾燥の状態には,指触乾燥(※1),半硬化乾燥,硬化乾燥などがある。
参考追記:(※1)指触乾燥とは,塗料の乾燥状態の一つで,塗った面の中央に触れてみて,試料で指先が汚れない状態になったときをいいます。JIS K 5600-1-1「塗料一般試験方法-第1部:通則-第1節:試験一般(条件及び方法)」
K5500
乾燥時間 drying time 塗料が乾燥するのに必要な時間。
加熱乾燥では,加熱装置に入れてから乾燥の状態になるまでの時間。乾燥の状態は,指触乾燥,半硬化乾燥,硬化乾燥などに分けて表す。
乾燥の状態及び試験方法は,JIS,BS,ASTM,FS などで少しずつ違いがある。JIS K 5600-1-1「塗料一般試験方法-第1部:通則-第1節:試験一般(条件及び方法),JIS K 5600-3-2「塗料一般試験方法-第3部:塗膜の形成機能-第2節:表面乾燥性(バロチニ法)」,JIS K 5600-3-3「塗料一般試験方法-第3部:塗膜の形成機能-第3節:硬化乾燥性」
K5500
セッチング setting 塗料を塗った後,流動性がなくなるまで放置する時間。 K5500
フラッシュオフタイム flash-off time ウエットオンウエット塗り(※1)で,続けて塗るときに必要な塗装間の時間,又は加熱乾燥若しくは放射線硬化の前に揮発成分の大部分を蒸発させるために必要とする時間。
備考:フラッシュオフは,被塗物の表面に塗着した塗料に含まれる揮発成分のうち,大部分のものを次の塗装工程又は焼付け工程に移る前に蒸発させることをいう。単にフラッシュと呼ぶこともある。フラッシュオフさせるのに要する時間をフラッシュオフタイムという。
参考追記:(※1)ウエットオンウエット塗りとは,先に塗った塗膜層が乾燥する前に次の塗膜層を塗り重ね,複合層を一つの膜として乾燥する方法のことです。
K5500
硬化 curing 塗料を,熱又は化学的手段で縮合・重合させる工程。求める性能の塗料が得られる。 K5500
硬化乾燥 dry-hard, hard dry, dry-through, dry through, through dry 塗料の乾燥状態の一つ。
a)試験片の中央を親指と人差し指とで強く挟んでみて,塗面に指紋によるへこみが付かず,塗膜の動きが感じられず,また,塗面を指先で急速に繰り返しこすってみて,すり跡が付かない状態(dry-hard)になることをいう。JIS K 5600-1-1 参照。
b) JISでは,塗膜の表面は乾燥しているが,塗膜の大部分は,まだ軟らかいといった状態ではなく,塗膜の厚さ全体を通じて乾燥している状態(through dry)をいう。
規定の試験機を用いて,水平に置いた塗料又は関連製品の一回塗り又は多層塗り塗料系の塗面に,規定のガーゼを置き,その上に規定された荷重を規定時間かけてから,90度のねじれを与えたとき,塗膜の表面にガーゼの跡が残らず,塗膜に損傷が認められない場合,その乾燥状態を硬化乾燥状態(through dry state)にあるという。JIS K 5600-3-3 参照。
備考:1.ASTM では,水平に置いた試験片の塗面に親指を置いて,垂直に伸ばした腕の力を最大にして押し付け,同時に90度回転させたとき,塗膜にゆるみ,はがれ,しわ(※1),その他のねじれの徴候が認められない乾燥状態を dry-through にあるという。
2.このほかに,塗膜を研磨したり(dry-to-sand),上塗りをしても異常が起こらない(dry-to-repeat),塗った物体の塗面に触れて持ち運びや包装ができる状態(dry-to-handle)などがある。
(※1)塗装・塗料用語における”しわ”とは,乾燥中に塗膜に発生するしわのことで,通常は上乾きが著しいときに,表面の面積が大きくなってできるものです。しわには,平行線状,不規則線状,ちりめんじわ状などがあります。
K5500
半硬化乾燥 dry to touch, touch dry 塗料の乾燥状態の一つ。塗った面の中央を指先でかるくこすってみて塗面にすり跡が付かない状態(dry to touch)になったときをいう。JIS K 5600-1-1 参照。
備考:BS では,指先で軽く圧力をかけて押えても,指紋の跡が残らず,粘着性を示さない状態(touch dry)をいう。
K5500
指触乾燥 set-to-touch, dust-free, dust dry 塗料の乾燥状態の一つ。塗った面の中央に触れてみて,試料で指先が汚れない状態(set-to-touch)になったときをいう。JIS K 5600-1-1 参照。
備考:ASTM,BS では,このほかに,塗面にほこり(綿の繊維や顔料グレードの炭酸カルシウムなど)が付着しなくなった状態を dust-free にあるという。
K5500
表面乾燥(上乾き) surface dry, sand dry 塗料の乾燥状態の一つ。水平に置いた試験片の塗面に,規定量のバロチニ(細かいガラス球)を指定の高さから落とし,10秒後に試験片を傾けて,軽くはけではいて塗膜の表面にきずを付けずに,バロチニを除去できる乾燥状態をいう。JIS K 5600-3-2 参照。
備考:上乾きは,塗った塗料の層が,表面だけが乾燥状態になり,下層は軟らかく粘着性があって未乾燥状態にあることをいう。
K5500
自然乾燥 air drying, air-drying 塗料を常温の空気中で乾燥させる方法。 K5500
強制乾燥 force drying, forced drying 自然乾燥よりも少し高い温度で塗料の乾燥を促進する工程。
通常の焼付塗料に用いられるより低い温度,通常は,66℃までの温度で乾燥する場合をいう。
K5500
焼付け stoving, baking 塗り付けた塗料の層を,あらかじめ設定された最低温度で加熱して,バインダーの架橋(分子量を増大)を起こさせて硬化させる工程。
加熱は暖めた空気の対流,赤外線の照射などによる。加熱して乾燥させて得た塗膜は一般に硬い。通常は,66℃以上の温度で乾燥する場合をいう。加熱乾燥の項参照。
備考:一般に加熱乾燥の温度範囲と時間は,塗料毎に規定されている。
K5500
赤外線焼付け infrared drying, infrared baking 塗料を塗り付けた面に赤外線を照射し,熱して乾燥させる方法。赤外線は,赤外線電球,ガス赤外線バーナー,ガス放熱管などを用いて放射させる。
参考追記:紫外線関連のJISには,JIS A 1423「赤外線放射温度計による放射率の簡易測定方法」,JIS C 9335-2-27「家庭用及びこれに類する電気機器の安全性-第2-27部:紫外線及び赤外線による皮膚照射用装置の個別要求事項」, JIS K 0151「赤外線ガス分析計」,JIS T 0601-2-203「医用電気機器-第2-203部:赤外線治療器の安全に関する個別要求事項」,JIS T 2001「家庭用紫外線及び赤外線治療器」,JIS T 4207「耳用赤外線体温計」,JIS Z 8117「遠赤外線用語」がある。
K5500
電子線硬化 electron beam curing 電子線の集束した流れによって塗料を速硬化させる方法。
電子線のエネルギーで塗料中にラジカルを発生させ,ラジカルを重合開始剤として塗料中のモノマー,オリゴマー及びポリマーに橋かけ反応を生じさせるものである。
高エネルギーで浸透力も高い電子線は,硬化も迅速で,比較的容易に硬化できる。ただし,電子線は発生するX線のシールドのほかに,生産ラインでも安全なシールドが必要となる。また,平らな表面に対し最も効果があり,不規則な形では,より多くのビーム源を必要とする。
K5500
UV硬化法 UV curing 放射エネルギーにさらることによって塗料を硬化する方法。
紫外線のエネルギーで塗料中にラジカルを発生させ,ラジカルを重合開始剤として塗料中のモノマー,オリゴマーやポリマーに橋かけ反応を生じさせるものである。UVは,フリーラジカルを生じるのに十分なエネルギーを与えられないため光増感剤(ベンゾインエーテル,アセトフェノン誘導体)を添加し,それらの分解によってフリーラジカルを与える。
UV硬化塗料には,重合可能なポリマー又はオリゴマー以外に光増感剤及び塗装性をよくするための反応性希釈剤を用いる。UVは,エナメル塗料や厚膜塗装物を十分に硬化しにくい。
平らな表面に対し最も効果的であり,不規則な形では,より多くのランプ(UV)を必要とする。
K5500
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