塗装(一般用語)

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 JIS K 5500「塗料用語」,JIS H 0201「アルミニウム表面処理用語」の用語定義の中から,塗装に関わる塗装方法や前準備などの一般用語を抜粋しものを紹介します。なお,解説中の“参考追記:”は,JIS用語規定を分かりやすくするため,SEKIGIN担当者が追記した内容です。

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用語 対応英訳 定義・解説 出典
【共通】      
ウエットオンウエット塗り wet-on-wet application, wet-on-wet coating 先に塗った塗膜層が乾燥する前に次の塗膜層を塗り重ね,複合層を一つの膜として乾燥する方法。 K5500
上塗り over coating, finishing 下地塗膜の上にまたは直接素地に上塗り用の塗料を塗る行為。 K5500
下塗り under coating, primer coating 中塗り用塗料や,上塗り用塗料を塗る前に,下塗り用塗料を塗る操作。 K5500
地肌塗り primary coat, priming coat 物体の素地に直接塗る工程。
素地の過度の吸収及びさびの発生を防ぎ,素地に対する塗膜層の付着性を増加するなどのために行う。
K5500
塗装 coating, application, painting, finishing 物体の表面に,塗料を用いて塗膜又は塗膜層を作る作業の総称。
備考:ISO 用語規格では,塗料は“coating material”,塗膜は“coat”と定義しているが,ここに記載する塗装に対応する用語は規定されていない。また,BS 用語規格では,同様に“coating material”を塗料,“coat”を塗膜とするほか,“coating”を塗装として定義している。
しかし,ASTM 用語規格では,“coating”は塗料として,また,塗ることは“paint(vb)”として定義されている。そのほか,CED には,塗装の意味の用語として“application”が記載されている。
ここでは,対応英語は,“coating”,“application”その他を併記している。
K5500
塗装系 coating system, paint system 塗装される又は既に塗装されている塗料の塗膜層の総称。
塗装の目的・効果を満足するように作った,地肌塗りから上塗りまでの塗り重ね塗膜の組合せを総称する用語。
備考:塗装系は,通常,乾燥又は硬化に必要な適切な間隔をおいて,指定の順番で,別々に塗装された複数の塗膜から構成される。ある種の塗料では,例えば,ウエットオンウエット吹き付け塗りのような多少とも連続する塗装工程によって適切な膜厚と隠ぺい性をもつ塗装系を作ることができる。この場合,塗装系のどの部分も,上記の意味で別々の塗膜とはいえない(CED)。
K5500
塗装工程 painting process, coating process 塗装系を作るための工程。
塗装の目的,塗ろうとする物体の素地,形状,数,用いる塗料の性質,塗装場所の条件などによって,素地の処理,塗料の塗り方,乾燥の方法,塗膜形成後の処理方法などを選定して,工程を設計する。
備考:ISO 用語規格では,”coating process”は,浸し塗り(※1),吹付け塗り(※2),ローラーコーティング,はけ塗り(※3)など,塗料を素地に塗装する過程を説明する一般用語としている。
(※1)浸し塗りとは,塗料を入れた槽の中に被塗物を浸した後引き上げる塗り方です。余分の塗料は滴下して除きます。
(※2)吹付け塗りとは,スプレーガンで塗料を微粒化して吹き付けながら塗る方法です。
(※3)はけ塗りとは,はけ(ハケ)で塗料を塗る方法です。
K5500
塗装間隔, 塗付け間隔 interval between coats 塗膜を重ねる作業での,塗りの時間間隔。 K5500
中塗り intermediate coat 下塗りと上塗りとの中間層として,中塗り用の塗料を塗る操作。
下塗り塗膜と上塗り塗膜との間の付着性の増強,総合塗膜層の厚さの増加,平らさ又は立体性の改善のために行う。英語では,目的によって,undercoat,ground coat,surfacer,texture coat などという。
K5500
塗合わせ, 塗りつぎ lap 被塗物の表面全体を1回塗りしているとき,新たに塗付された領域の隣に次の塗料を塗付する際にその一部を重ね合わせて塗りつぐ操作,又はその重なり部分をいう。
塗装方法によって,その意味は多少異なるが,スプレー塗装ではパターンの重なりといい,膜厚の均一化を図るためには1/3以上の重なりが必要であるという。
K5500
塗付け量 application rate 規定の作業条件で,単位面積に規定の厚さの乾燥塗膜を作るのに必要な塗料の量。
一般に,g/m2,ml/m2,試験では,g/100cm2,ml/100cm2 で表す。塗り面積(spreading rate)の項参照。
K5500
塗り面積, 塗り坪 spreading rate 一定量の塗料によって必要な厚さの塗膜を作ることのできる表面積。
通常,m2/l 又は m2/kg で表す。JIS K 5600-3-1「塗料一般試験方法-第3部:塗膜の形成機能-第1節:塗り面積(はけ塗り)」
備考: 塗り坪には,規定する条件によって,1)実用塗り坪,2)理論的塗り坪,3)平均的塗り坪がある。
K5500
実用塗り面積, 実用塗り坪 practical spreading rate 実用的な条件の下で規定された方法で1回塗りしたとき,一定量の塗料で塗ることができる規定の被塗素地の面積。通常,m2/l 又は m2/kgで表す。 K5500
理論的塗り面積, 理論的塗り坪 theoretical spreading rate 不揮発分の容積から計算される塗り面積(塗り坪)。 K5500
平均塗り面積, 平均塗り坪 natural spreading rate 熟練した試験者によって,はけで流れ・たれのないように,一様に塗付した場合のウエットフィルム質量当たりの平均面積又はウエットフィルム容量当たりの平均面積。 K5500
拾い塗り touch up, bring forward 塗膜のきずの部分などを,部分的に塗って補修する方法。 K5500
マスキング masking 色の塗り分けや,塗り残したい場所がある場合に,塗料に浸されにくく,かつ,容易に除去できるもの,例えばテープを塗装前にはり付けて一時的に被覆する操作。 K5500
磨き仕上げ polishing ラッカー塗膜などの最終工程で,塗膜を磨き上げる操作。磨くときに,ポリシングコンパウンド,ポリシングワックスなどを用いる。 K5500
水研ぎ wet sanding, wet rubbing 耐水研磨紙,といし,研ぎずみなどを用いて,水を付けながら塗膜を研ぐ方法。
JIS R 6253「耐水研磨紙」塗装面などの研磨加工に使用する耐水研磨紙について規定されています。耐水研磨紙の研磨材に用いられる材質には,アルミナ質研削材などがあります。
K5500
【はけ・ローラ塗り】      
筋かいばけ sujikai-bake 塗料用のはけの一種。二つに割った柄の先端に毛の束を挟んで,毛の束の方向が柄に対して約45度になるように取り付けたもの。すみ及びくぼみを塗るにも都合がよい。毛の束の幅で大きさを表す。 K5500
ずんどうばけ zundou-bake 塗料用のはけの一種。二つに割った柄の先端に毛の束をはさんで,毛先が柄の延長に向くように取り付けたもの。毛の束の幅で大きさを表す。 K5500
たたき塗り stipple, stippling 塗面をたたくようにして塗る塗り方。
塗付後直ちに塗面を,スチップル用はけで規則的に一様にたたいて,塗膜を平滑にならし,はけ目,その他のむらを除くために行う。また,粘ちゅう度の高い塗料を塗付して,乾かないうちに,スチップル用はけ又はスチップル用ローラを用いて,塗膜の表面に凹凸模様を作る塗り方をいう。また,塗面に別の色の塗料をはん点状に塗る塗り方をいうこともある。
K5500
はけ brush 塗料を塗り付ける器具の一種。獣毛又は合成樹脂製繊維を束ねて,柄に固定したもの。
毛や繊維の束に塗料を含ませ,物体の表面に触れて移動し,塗料を物体の表面に薄層として塗り付ける。
束の形や角度によって,ずんどうばけ(※1)・丸はけ・平はけ・すじかいばけ があり,用いる毛には,馬毛,やぎ毛,豚毛,うさぎ毛,たぬき毛,ナイロンなどがある。塗料の試験に用いるはけは,JIS K 5600-1-6「塗料-般試験方法-第1部:通則-第6節:養生並びに試験の温度及び湿度」
参考追記:(※1)ずんどうばけとは,塗料用のはけの一種で,二つに割った柄の先端に毛の束をはさんで,毛先が柄の延長に向くように取り付けたものです。毛の束の幅で大きさを表します。
K5500
はけ塗り brush application, brushing, brush coating はけで塗料を塗る方法。 K5500
ローラ塗り roller application 手持ちローラ(ブラシ)によって塗料を塗る方法。
備考:ロールコーターによる工業塗装の場合は“Roller coating”。
K5500
【スプレー塗り】      
エアレススプレー塗り airless spraying, airless spray application 塗料に圧力を掛けて強制的にノズルから噴出させて塗装する方法。 K5500
エアレススプレーガン airless spray gun 空気吹付けによらないで,塗料自体に圧を掛けてノズルから塗料を霧状に噴き出して塗る器具。JIS B 9809 参照。 K5500
スプレー塗装 spray coating 圧縮空気などによって塗料を霧状にし,品物に塗装する方法。 H0201
スプレーガン spray gun 吹付け塗りに用いるピストル状の器具。
圧縮空気を噴出し又は塗料自体を加圧して,塗料を霧状に噴出させて塗る。後者をエアレススプレーガンという。
JIS B 9809「スプレーガン」圧縮空気によって塗料を霧化し,被塗物に付着させて塗装する一般塗装用スプレーガンについて規定されています。
K5500
スプレーしぶき overspray 吹付け塗りのときに,被塗面に付着しないで飛散する余分の塗料の霧。 K5500
スプレーブース spray booth 吹付け塗りの際に,塗料の飛散を防ぐために用いる囲い。
送風機を備えて塗料の霧及び溶剤の蒸気を吸引して室外に出す。囲いの内壁に水を流して塗料の付着を防ぎ,吸引気流に水を噴射して塗料の霧などを流し落とすものが多い。この方式のものを水洗ブースという。
K5500
吹付け塗り spraying, spray coating スプレーガンで塗料を微粒化して吹き付けながら塗る方法。JIS K 5600-1-1 参照。 K5500
静電塗装, 静電塗り electrostatic spraying, electrostatic coating 霧化した塗料粒子と被塗物との間に静電電位差を掛けて,塗料の霧を被塗物に引き付けて塗る方法。
塗料の霧は,回転円盤,スプレーガンなどで発生させるが,発生源に対する物体の裏側にも塗料が付着し,塗料の損失が少ないのが特徴。電圧は通常40~100kV。
K5500
静電塗装 electrostatic coating, electrostatic spraying, electrostatic spray coating 一般に被塗装物を陽極,噴射装置を陰極とし,直流高電圧をかけて静電気を帯電させた噴霧状の塗料を品物に電気的に引き付けて塗装する方法。 H0201
ホットスプレー塗り hot spraying, hot spray coating 溶剤の添加によらずに,むしろ加熱によってコンシステンシーを下げて塗料を吹付け塗りする方法。 K5500
【その他 塗装】      
遠心除滴 centrifugal detearing, whirling 浸し塗りのとき,物体を塗料に浸して引き上げた後,振り回して遠心力で余分の塗料を除き取る操作。 K5500
カーテン(フロー)コーティング curtain coating 還流される塗料が,カーテン状に流下する中に,連続的に被塗物を水平に通過させることによって塗料を塗装する方法。主に平板の塗装に用いる。 K5500
カッティングイン cutting-in あらかじめ決めた線まで塗料をはけで塗装する方法。
備考:ガラスを汚さずに窓枠に塗料を塗装することが一つの例である。
K5500
コイルコーティング coil coating 塗料を連続的に金属コイルに塗装し,塗膜が乾燥してから再び巻き取られる塗装方法。この方法は,から鋼板業界で多く採用されており,塗装スピードは100m/分 と極めて速い。リバースロールコーターが主体であるが,ナチュラルロールコーターも使われている。 K5500
転がし塗り rumbling, tumbling, barreling, drum coating たるの中に物体と塗料を入れて,たるを回転させ,物体が転がってこすり合う作用で塗料を塗り付ける方法。小形で数の多い物を塗るときに用いる。 K5500
ステンシル塗り stencil application, stenciling, screen printing 型紙を使って文字や模様を付ける塗り方。 K5500
静電除滴 electrostatic detearing 浸し塗り(※1)の際に物体を塗料に浸して引き上げた後,物体と塗料受けとの間に静電圧をかけ,静電引力で余分の塗料を除き取る操作。
(※1)浸し塗りとは,塗料を入れた槽の中に被塗物を浸した後引き上げる塗り方です。余分の塗料は滴下して除きます。
K5500
大理石塗り marbling 磨き大理石の外観と肌合いを塗料によって再現する状態。 K5500
たんぽずり pad application, padding, French polish 揮発乾燥性塗料の塗り方の一種。
たんぽに塗料を含ませ,円を描くようにして順々に移動しながら面全体を手早く磨くようにして塗る。塗膜の薄いところには塗料が更に付着し,厚いところは,ふき取られるので,平滑に,つやが美しく仕上がる。たんぽとは,綿を綿布で包んだものをいう。
備考:“French polish”は,あまに油(※1)を潤滑剤として含ませたたんぽ(綿を麻布で包んだもの)で仕上げ操作を行うセラックニスをいう。たんぽずり(French polishing)は,本来ラックニス塗装の際に行うつや出し及び塗面を平滑にするための仕上げ操作であるが,ラッカークリヤーのような揮発乾燥性透明塗料の仕上げにも適用される。
参考追記:(※1)あまに油とは,あまに種子(含油分35~40%)から得られる液状植物油のことです。リノレン酸を主成分とし,乾性油の代表的な油脂です。あまに種子は,カナダ,アルゼンチンなどの寒帯地域で生産され,塗料,印刷インキ,油ワニス,リノリウムなどに用いられます。生あまに油,精製あまに油,ノンブレークあまに油などがあります。
K5500
電着塗装 electrodeposition, electrocoating 導電性のある物体を,水に分散した塗料の中に入れ,物体と他の金属体とが両極になるようにして電流を通し,物体に塗料を塗る方法。塗料中の塗膜形成要素と顔料とは帯電するので,物体がそれと反対の極になるように電流の方向を選べば,帯電したものは物体に付着し,電荷を失い,付着物は水に非分散性の被膜層になる。一般には,この後に塗料から引き上げ,水で洗浄してから焼き付ける。 K5500
流し塗り flow coating 被塗物に塗料を注ぐか又は流し掛けるかのいずれかで塗装し,次いで過剰な塗料のたれ切りを行う塗装方法。 K5500
浸し塗り dipping, dip coating, immersion coating 塗料を入れた槽の中に被塗物を浸した後引き上げる塗り方。余分の塗料は滴下して除く。 K5500
フィリング, 肌直し filling 平滑な表面を作るためにフィラー(※1)を塗付する操作。
備考:BS 用語規格では,”filling”は,欠陥のある表面に適切なコンシステンシーの製品を塗付して,乾燥後研ぎ出して,塗装に適する平滑な表面んを作ることをいう。
(※1)フィラーとは,塗装の前に表面に小さな欠陥を除き,及び/又は平滑で均一な平面を作るために用いられるペースト状コンシステンシー(液体を変形するときに起こる力学的抵抗)をもつ製品のことです。なお,フィラーという用語は体質顔料(使用するビヒクルに不溶のつぶ状又は粉状で,塗料・塗膜のある種の改質を目的として配合される,通常は屈折率が小さい顔料)と同義にも用いられます
K5500
へら knife, spatula ペースト状の塗料を塗り付けたり調製したりするための,しなやかな長板状の用具。鋼べら・木べら・プラスチックへら がある。 K5500
へら付け knifing, knife application へらで塗料を塗る方法。 K5500
木目塗り grainig 塗料によって木材表面の外観及び肌合いを再現する操作。はけ(※1),海綿,ゴム,くし,ローラーなどを用いて,ペイント塗面に木目を書き表す操作。
(※1)はけ(ハケ)とは,塗料を塗り付ける器具の一種で,獣毛又は合成樹脂製繊維を束ねて,柄に固定したものです。毛や繊維の束に塗料を含ませ,物体の表面に触れて移動し,塗料を物体の表面に薄層として塗り付けます。束の形や角度によって,ずんどうばけ・丸はけ・平はけ・すじかいばけ があり,用いる毛には,馬毛,やぎ毛,豚毛,うさぎ毛,たぬき毛,ナイロンなどがあります。
K5500
ロールコーティング roller coating 2本又はそれ以上の横置硬質ロールの間に平らな物体を通過させて塗料を塗る方法。
塗料は,ロールから平板又は物体の片面又は両面に移行して塗装される。
備考:通常,ロールコーターは,塗付けロール,調製ロール,塗料ピックアップロール,送りロールの4本のロールで構成されたものが,一般的で,ローラの回転方向と被塗物の進行方向が同じものをダイレクトロールコーター,逆のものをリバースロールコーターという。合板,スレート板,鋼板,亜鉛めっき鋼板(※1)などのシート状ストリップ状の平板の塗装に用いられる。
JIS G 3302「溶融亜鉛めっき鋼板及び鋼帯」,JIS G 3312「塗装溶融亜鉛めっき鋼板及び鋼帯」JIS G 3313「電気亜鉛めっき鋼板及び鋼帯」
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浸せき塗装 dip coating, dip painting 水又は溶剤に電解した塗料中に品物を浸せきして塗装を行う方法。 H0201
電着塗装 electrodeposition coating, electrophoretic coating 解離可能な水溶性塗料中で,被塗装物を陽極又は陰極として直流電圧を印加し,電気泳動によって塗装する方法。アルミニウムの場合は,アルミニウムを陽極として使うのが一般的である。 H0201
粉体塗装 powder coating 溶媒,水などの助けを借りないで乾式で粉体微粒子を被塗物に付着させ,加熱溶融して塗膜を被覆する方法。一般に他の方法に比べて厚膜になる。 H0201
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