素地調整技術としてのブラスト処理技術

 JIS Z 0103「防せい防食用語」,JIS H 0201「アルミニウム表面処理用語」,JIS H 0400「電気めっき及び関連処理用語」,JIS H 8200「溶射用語」,JIS K 5500「塗料用語」の用語定義の中から,金属の素地調整技術の一つであるブラスト処理に関する技術用語を抜粋しました。
用語 対応英訳 定義・解説 出典
ブラスト処理 blasting 金属製品に防せい防食を目的として塗料などを被覆する場合に,素地調整のために行われる。研削材に大きな運動エネルギーを与えて金属表面に衝突させ,金属表面を細かく切削及び打撃することによってさび,スケールなどの付着物を除去して金属表面を清浄化又は粗面化させる方法。 Z0103
ブラスト処理 abrasive blast-cleaning 処理される表面に高運動量のブラスト研削材を衝突させる方法。
金属製品の防せい防食を目的として塗料などを被覆する場合に,素地調整のために行われる。研削材に大きな運動エネルギーを与えて金属表面に衝突させ,金属表面を細かく切削及び打撃することによってさび,スケールなどを除去して金属表面を清浄化又は粗面化させる方法(JIS Z 0311参照)。
K5500
ブラスト処理 abrasive blasting, abrasive blast-cleaning 圧縮空気流,遠心力などを用いてブラスト材を基材の表面に吹き付けて黒皮,酸化物などを除去して清浄化すると同時に粗面化する操作(JIS Z 0310参照)。 H8200
ブラスト処理 abrasive blasting アルミナ,ショット,グリッド,ガラスビーズなどを用いて,空気の流れによって吹き付ける表面処理。 H0201
ブラスト法 blasting 加工面に固体金属,鉱物性又は植物性の研磨材を高速度で吹き付け,表面を清浄化,磨耗若しくは硬化させる方法。
参考:対応国際規格では,使用する研磨材などの種類によって,アブレシブブラスト(abrasive blasting),ビードブラスト(bead blasting),ガラスビードブラスト(glass bead blasting),カットワイヤブラスト(cut wire blasting),グリットブラスト(grit blasting),サンドブラスト(sand blasting),ショットブラスト(shot blasting),ウエットブラスト(wet blasting)の用語を規定している。
H0400
ブラスト処理用研削材 blast cleaning abrasive ブラスト処理に用いることを目的とする固形材料(JIS Z 0310,JIS Z 0311,JIS Z 0312参照) K5500
サンドブラスト sand blasting, sand blast 金属製品に砂などの研削材を吹き付けて表面のさびを除き清浄にする操作。ブラスト処理参照。 K5500
サンドブラスト sand blasting 圧縮空気又は遠心力などで,砂又は粒状の研削材を品物に吹き付けて行う表面処理。 H0201
グリットブラスト grit blasting 鉄,鋼スラグ又はアルミナ(コランダム)のような特殊な材料を用いるブラスト処理のうちの一つの方法。
ブラスト処理の項参照。
K5500
グリットブラスト grit blasting, abrasive blast-cleaning 鋳鉄グリット,鋳鋼グリット,アルミナグリット,炭化ケイ素グリットなどの研削材を圧縮空気,遠心力などで基材に吹き付けて研削し,表面の清浄化と同時に粗面化を行うブラスト処理(JIS Z 0310 参照)。 H8200
ショットブラスト shot blasting 金属製品の表面に鋼粒ショットを吹き付けて,清浄にする工程。ブラスト処理の項参照。 K5500
ショットブラスト shot blasting 圧縮空気又は遠心力などで,ショット,カットワイヤなどを品物に吹き付けて行う表面処理。 H0201
ショットブラスト shot blasting, shot blast-cleaning 鋳鉄ショット,鋳鋼ショットなどの鋼球を遠心力又はその他の方法で吹き付けて基材表面のスケール,さび,塗膜などを除去し,清浄にするブラスト処理。 H8200
ガラスビーズブラスト glass beed blasting 小さい特殊なガラスビーズを,表面に清浄に又は硬くするために,金属表面に噴射させる処理。 H0201
ブラスト角度 blast angle 基材に対するブラストノズルの角度。
ブラスト角度は加工能力に影響し,基材の硬さ,研削材の種類によって相違がある。
H8200
ショットピーニング shot oeening 鋳鉄ショット,鋳鋼ショットなどの鋼球を遠心力又はその他の方法で吹き付ける方法。
ショットブラストと同様な方法。この目的は,基材表面のショットを打ち付ける冷間加工によって表面の硬さを高め,疲労強度を増加させる。
H8200
ブラスト装置 blasting machine, abrasive blast-cleaning machine 素地調整を行う装置。
加圧式ブラスト装置,吸引式ブラスト装置及び遠心式ブラスト装置がある(JIS Z 0310参照)。
H8200
遠心式ブラスト装置 centrifugal blasting machine ケーシング中の回転翼車にブラスト材料を供給し,遠心力によって投射し,素地調整を行う装置。 H8200
吸引式ブラスト装置 suction blasting equipment 圧縮空気を用いてブラスト材料を吸引して素地調整を行う装置(JIS Z 0310参照)。 H8200
加圧式ブラスト装置 pressure blasting equipment 加圧槽のブラスト材料を圧縮空気を用いて素地調整する装置(JIS Z 0310参照) H8200
バキュームブラスト装置 vacuum blasting equipment 加圧槽のブラスト材料を圧縮空気を用いて素地調整を行う装置に,飛散するブラスト材料を吸引回収する機能を備えた装置。 H8200
用語 対応英訳 定義・解説 出典
ブラスト材 abrasive material, abrasives ブラストで素地調整を行うための,金属または非金属の粒。
金属系ブラスト材料には鋳鉄,鋳鋼及びカットワイヤ,スチルワイヤがある。非金属系には天然,人造鉱物がある(JIS Z 0310参照。
H8200
グリット grit 尖鋭なりょう角を持つ粒。 H8200
鋳鉄グリット cast iron grit 白銑鋳鉄を粉砕して得られたグリット。
ブラスト材料に用いる((粒度については,JIS Z 0311参照)
H8200
鋳鉄グリット cast steel grit 鋳鋼を粉砕して得られたグリット。
ブラスト材料に用いる(粒度については,JIS G 5903参照)。スチールグリットともいう。
H8200
カットワイヤ cut wire 硬鋼線を寸断して得られた尖鋭な角を持つ粒。ブラスト材料として用いる。 H8200
アルミナグリット alumina oxide grit 天然又は人造のアルミナ粒。
ブラスト材料に用いる(JIS R 6111参照)(人造アルミナの粒度についてはJIS R 6001参照)。
H8200
炭化ケイ素グリット silicon carbide grit 炭化ケイ素(SiC)を主成分とするブラスト材料(JIS R 6111参照)(粒度についてはJIS R 6001参照)。 H8200
スラググリット slag grit スラグ(鉱さい)を粉砕して得られたグリット。ブラスト材料に用いる。 H8200
銅製錬スラググリット copper smelting slag grit 銅鉱石を製錬する際に生成するスラグ(鉱さい)を粉砕した粒(JIS Z 0312参照)。
他にニッケル製錬スラググリット,鉄製錬スラググリットがある。
H8200
アルマンダイト・
ガーネットグリット
almandite garnet grit ざくろ石種の鉱石を粉砕した粒(JIS Z 0312参照)。ブラスト材料に用いる。 H8200
溶融物 fused material 原料となる鉱石を所定の配合比に混合し,アーク炉,電気炉で溶融,凝固,粉砕及び粒度調整したもの。成分組成が均一である。 H8200
造粒物 agglomerated material 原粒鉱石粉末を所定の配合比に混練し,湿式の状態で回転粒造したもの。使用に際しガス,水分の放出がある。 H8200
混合物 blended material 原粒鉱石粉末及び溶融若しくは焼結した後に,粉砕した粉末を機械的に混合造粒したもの。 H8200
スピネル spinel マグネシウムとアルミニウムの複合酸化鉱物。 H8200
鋳造ショット cast shot 粒度1.5~4.0mmの溶融鋳鉄を噴霧して得られるショット。高炭素鋼ショット及び低炭素鋼ショットがある。 H8200
鋳造グリット cast grit 鋳造ショットを粉砕して得られたグリット。切削性に優れ,0.2~3.0mmの粒度を持つ。 H8200
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