構造部用途の主な鋼材

 JIS G 0203「鉄鋼用語(製品及び品質)」及びJIS G 0204「鉄鋼用語(鋼製品の分類及び定義)」の中から構造物での使用例の多い鋼材に関わる用語を抜粋しています。
用語 対応英訳 定義・解説 出典
構造用鋼材 steel for structure 建築,橋,船舶,車両,及びその他の構造物用として強度及び必要に応じて溶接性を重視して製造された鋼材。 G0203
耐候性圧延鋼材 rolled steels improved atmospheric corrosion resistance 大気中に置いて通常の鋼に比べてちみつなさびを形成しやすく,腐食速度を低減することができる圧延鋼材 G0203
高張力鋼 high tensile strength steels 建築,橋,船舶,車両その他の構造物及び圧力容器用として,通常,引張強さ490N/mm2以上で溶接性,切欠きじん性及び加工性も重視して製造された鋼材。冷延鋼板では引張強さ340N/mm2以上を高張力鋼という。 G0203
調質高張力鋼 quenched and tempered high tensile strength steels 焼入焼戻しを行うことによって高張力鋼としての性質を与えた鋼材。 G0203
非調質高張力鋼 as roned or normalized high tensile strength steels 圧延のまま,又は焼ならしの状態で高張力鋼としての性質を与えた鋼材。 G0203
用語 対応英訳 定義・解説 出典
条鋼製品 long products 大型形鋼,棒鋼,中型形鋼並びに小型形鋼などの熱間圧延した長い製品。 G0204
大型形鋼 heavy sections Ⅰ,H,L(山形)又はU(溝形)の字に似た断面をもった圧延製品。これらは共通して,次の特徴を持っている。高さhは80mm以上。ウェブの表面は,フランジの内面と肉盛によって連結している。フランジは,一般に対称的で,同じ幅を持っている。フランジの外の面は,平行である。フランジは,ウェブ~端面にかけて厚さが減少している。 G0204
中型形鋼及び小型形鋼 medium and light sections 小型溝形形鋼:高さhが80mm未満。 G0204
H鋼 H steels ジョミニー式一端焼入方法によって焼入端からの一定距離における硬さの上限,下限又は範囲を保証した鋼。 G0203
亜鉛めっき鋼板 zinc-coated sheets 亜鉛をめっきした鋼板で,溶融亜鉛めっき鋼板と電気亜鉛めっき鋼板がある。溶融亜鉛めっきの亜鉛の質量は,両面合せて60~800g/m2の間で変わる。めっきはスパングル(冷却時の結晶化による模様)仕上,最小スパングル又はスパングル無しにできる。電気めっきの亜鉛の質量は,両面合せて7~107g/m2の間で変わる。亜鉛めっき後,表面をクロメート処理又はリン酸処理によって不動態化してもよい。 G0204
溶融亜鉛めっき鋼板及び鋼帯 hot-dip zinc-coated steel sheets/strip 建材用,家電用,自動車用等の防錆(防せい)性を高めるため,溶融亜鉛めっきを行った鋼板及び鋼帯。板には平板と波板とがある。表面は通常,スパングルと称する花のような模様があるが,これを小さくしたもの又は消したものもある。また,再加熱して,亜鉛層を十分に鉄と合金化させたもの(ガルバニール,主に塗装用)がある。 G0203
溶融アルミニウム - 亜鉛合金めっき鋼板及び鋼帯 hot-dip aluminium-zinc alloy coated steel sheets/strip 主に建材用の高防錆性(防せい性)をもつ,溶融アルミニウム-亜鉛合金めっきを行った鋼板及び鋼帯。
約5%アルミニウムと亜鉛の合金めっきをしたもの及び約55%アルミニウムと亜鉛の合金めっきをしたもの がある。
G0203
鋼管 steel tube 長い中空の端部が開いた円形又はその他の断面のもの。製造方法,形状により,継目無鋼管(seamless steel tube),溶接鋼管(welded steel tube),電気抵抗溶接鋼管(electric resistance welded dteel tube),サブマージアーク溶接鋼管(submerged arc welded steel tube),自動アーク溶接鋼管(automatic arc welded steel tube),鍛接鋼管(butt-welded steel tube:鋼帯を加熱し,円筒状に成形した後,加熱圧接法で圧着),ひれ付き鋼管(fin steel tube:外側に1枚以上の縦ひれをもつ形状の熱伝達用鋼管),リブド鋼管(ribbed steel tube:内側にリブを付けた熱伝達用鋼管),角形鋼管(square steel tube),ホローセクション(hollow section),中空棒鋼(hollow bar)などがある。 G0204
構造用鋼管 steel tube for structural purposes 土木,建築,橋,鉄塔及び機械部品用として強度を重視して製造された鋼管。 G0203
塗覆装鋼管 coated steel pipes 外面にプラスチック被覆,内面にエポキシ樹脂塗料などを塗覆装した鋼管。 G0203
ポリエチレン被覆鋼管 polyethylene coated steel pipes ガス,油,水などの輸送に用いるもので,主に埋設用の外面にポリエチレンを被覆した鋼管。 G0203
配管用鋼管 steel tube for piping 気体,液体などの輸送用の配管に用いられる鋼管。 G0203
ラインパイプ line pipe 油田,製油所,港,消費地などの間をパイプラインで直結し,天然ガス,高圧都市ガス,石油及び石油製品などを輸送するのに用いられる鋼管。 G0203
くい piling くいには,鋼矢板(sheet piling),組立支持ぐい(fabricated bearing pile),鋼管支持グイ(tubular bearing pile)などがある。鋼矢板は,熱間圧延又は冷間形成(引き抜き,プレス形成など)によって,継目をかみ合わせたり,長手方向の溝を合せたり,又は特殊な継目を使って,仕切り壁又は連続壁を構成できるような形をした製品。その形状又は用途により,U形,Z形,直線形,箱形又は鋼管に分けられる。 G0204
鋳物 castings 砂,耐火粘土又はその他の耐火物製の鋳型,時には金属または黒鉛製の永久鋳型に注いだ溶鋼が凝固することによって,機械加工を行わなくても製品の形状及び最終寸法が直接得られる仕上製品。 G0204
異形鋼棒 deformed bars 熱間圧延された鋼で,コンクリートとの付着力を増すために断面を特殊な形状にした鋼材。鋼材円周表面にふし・その他の突起を付けたものと,冷間ねじり加工でらせん状にしたものがある。 G0204
線材 rod, wire rod 熱間圧延仕上げ製品で,熱間で不規則な形状のコイルに巻かれたもの。 G0204
硬鋼線材 high carbon steel wire rods 炭素含有量0.24~0.86%の炭素鋼線材。硬鋼線,オイルテンパ線,PC硬鋼線,亜鉛めっき鋼より線,ワイヤロープなどの製造に用いられる。 G0203
ピアノ線材 piano wire rods 通常,炭素含有量0.60~0.95%の良質な高炭素鋼線材。ピアノ線,オイルテンパ線,PC鋼線,PC鋼より線,ワイヤロープなどの製造に用いられる。 G0203
PC鋼線 uncoated stress-relieved steel wires for prestressed concrete ピアノ線材を用い,通常,パテンチング後伸線などの冷間加工及びブルーイングをして仕上げられた鋼線。プレストレスコンクリートに用いられる。断面の形状は,円形及び異形がある。 G0203
PC鋼より線 uncoated stress-relieved steel stands for prestressed concrete ピアノ線材を用い,通常,パテンチング後伸線などの冷間加工した線をより合わせしたのち,ブルーイングをして仕上げられた鋼より線。プレストレスコンクリートなどに用いられる。素線の断面の形状は,円形及び異形がある。 G0203
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