金属・熱処理用語

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 鋼などの金属特性の調整に用いられる熱処理に関して,主な用語をJIS G 0201「鉄鋼用語(熱処理)」の中から抜粋し,五十音順で紹介します。
用語 対応英訳 定義・解説 出典
アルミナイジング aluminizing 表面にアルミにウムを富化させる目的で,鉄鋼製品に適用される熱化学処理。
備考:鉄鋼の耐熱性及び耐食性を向上させる。フェロアルミニウムなどの粉末による方法をカロライジング(calorizing)ともいう。
G0201
安定加熱処理 atabilizing 時間経過による寸法,又は組織変化を防ぐことを意図した鉄鋼製品の熱処理。 G0201
安定化焼きなまし stabilizing annealing 化合物,例えば,安定化オーステナイト系ステンレス鋼における炭化物の析出又は球状化をする目的で,850℃付近で行う焼きなまし。 G0201
鋭敏化, 鋭敏化処理 sensitization 粒界への炭化物の析出による,粒界腐食に対するステンレス鋼の感受性の増加。
備考:粒界腐食に対する抵抗を研究するために,鋭敏化処理が用いられる(ISO 3651-2 参照)。
鋭敏化処理:オーステナイト系ステンレス鋼の粒界腐食試験を行うために,500~800℃の温度範囲に加熱して,粒界腐食に鋭敏な組織状態にする熱処理。
G0201
オーステナイト化 austenitizing 鉄鋼製品の組織がオーステナイトになるような温度で行う処理。
備考:もし変態が完全でない場合には,部分的オーステナイト化と呼ぶ。
G0201
拡散浸透処理 diffusion coating 表面に他の金属元素又は非金属元素を拡散浸透させる熱処理の総称。
1. 拡散被覆処理又はセメンテーション(cementation)ともいう。
2. アルミナイジング(aluminizing)又はカロライジング(calorizing),ガルバナイジング(galvanizing),サルファライジング(sulphurizing),クロマイジング(chromizing),シリコナイジング(silliconizing),シュラダイジング(sheradizing)などがある。
G0201
過冷 supercooling 変態の析出の一部又は全部を阻止して,変態点以下又は溶解度線以下の温度に冷却する操作。 G0201
ガルバナイジング galvanizing 鉄鋼の耐食性を向上させるために,溶融亜鉛浴に浸漬せきして表面を亜鉛で被覆する操作。
備考:硫酸塩溶液中において電気めっきで亜鉛を被覆する場合もある。
G0201
クロマイジング chromizing クロムの表面富化を得るために,鉄鋼製品に適用される熱化学処理。
備考:1. 表面層は実際上,純クロム(低炭素鋼については)又はクロム炭化物(高炭素鋼については)からなる。
2. 鉄鋼の耐熱性及び耐食性を向上させる。
G0201
高周波焼入れ induction hardening 加熱が誘導によって行われる表面硬化処理。
備考:主に鉄鋼の任意の表面又は部分を焼入れする場合に用いる。鉄鋼の高周波焼入焼戻加工は,JIS B 6912 に規定されている。
G0201
サルファライジング sulfurizing 硫黄を鉄鋼の表面に拡散させる操作。
備考:浸硫ともいう。
参考: ISO の定義では,化合物層に硫黄を自発的に添加した炭窒化。
G0201
残留応力 residual stress 外力又は熱こう配がない状態で,金属内部に残っている応力。
備考:熱処理のときに,材料の内外部で,冷却速度の差による熱応力又は変態応力が生じ,これらが組み合わされて,内部に応力が残留する。また,冷間加工,溶接,鋳造などによっても残留応力を生じる。
G0201
シリコナイジング siliconizing けい素の表面富化を得るために鉄鋼製品に加えられる熱化学処理。
備考:耐食性皮膜を作る。浸けいともいう。
G0201
シェラダイジング sherardizing 亜鉛の表面富化を得るために鉄鋼製品に加えられる熱化学処理。
備考: 耐食性皮膜を作る。
G0201
シーズにング,枯らし seasoning 鋳物の鋳造内部応力を除去するため,長年月放置する操作。
備考:最近では,一般に応力除去焼きなましが行われる。
G0201
白点 flake, white spot 鋼材の表面に現れる白色の光沢をもったはん点。
備考:1. 以前には,定合金鋼の大型鍛鋼品などにしばしば認められた。
2. 熱加工後の冷却過程で生じる変態応力,水素の析出に伴う内部応力などで誘発される内部き裂と考えられる。
G0201
磁気変態 magnetic transformation 強磁性体から常磁性体へ,又は常磁性体から強磁性体への変化。
備考:結晶構造の変化は伴わない。
G0201
時効 ageing 急冷,冷間加工などの後,時間の経過に伴い鋼の性質(例えば,硬さなど)が変化する現象。
備考:時効硬化を目的として行う操作の定義で用いることもある。
G0201
質量効果 mass effect 質量及び断面寸法の大小で,焼入硬化層深さの異なる度合い。質量及び断面寸法のわずかな変化で,焼入硬化層深さが大きく変化することを,質量効果が大きいという。
参考: ISO の定義では,冷却挙動に及ぼす物の大きさの効果。
G0201
自硬性 property of self hardening 焼入温度から空気中で冷却する程度でも,容易にマルテンサイトを生じて硬化する性質。 G0201
浸炭 carburizing オーステナイト中に固溶している状態の炭素を,表面に富化させるために鉄鋼製品にオーステナイト状態で適用される熱化学処理。
備考:1. 浸炭した鋼は,焼入焼戻しを行って使用することが普通である。この処理を肌焼き(case hardening)ということもある。
2. 浸炭剤の種類によって固体浸炭,液体浸炭及びガス浸炭に分けられる。
G0201
水素脆化 hydrogen embrittlement 鋼中に吸収された水素によって鋼材に生じる延性又は靭性が低下する現象。
備考:この現象は,酸洗,電気めっきなどの場合に生じることが多い。また,引張応力が存在すると割れに至ることが多い。
G0201
セメンテイション cementation 金属材料の表面層の硬さ又は耐熱耐食性などを向上させるために,高温度の各種触媒中で,他の元素を表面に拡散させる操作。
備考:拡散浸透処理ともいう。
参考: ISO の定義では,金属元素又はメタロイドを鉄鋼製品に導入しようとする熱化学処理。
G0201
赤熱脆性 rd shortness 熱間加工の温度範囲で鋼がもろくなる性質。 G0201
青熱脆性 blue shortness 200~300℃付近で鋼の引張強さや硬さが常温の場合より増加し,伸び,絞りが減少して,脆くなる性質。
備考:青熱脆性と呼ばれるのは,この温度範囲で,青い酸化被膜が表面に形成されるためである。
G0201
調質 thermal refining 焼入れ後,比較的高い温度(約400℃以上)に焼き戻して,トルースタイト又はソルバイト組織にする操作。 G0201
窒化 nitrideing 窒素の表面富化を生じるように鉄鋼製品に適用される熱化学処理。
備考:1. 窒化の行われる媒体を規定すること,例えば,気体,プラズマなど。
2. 処理方法には,アンモニア分解ガスによるガス窒化及び青酸塩による液体窒化がある。
G0201
低温脆性 cold shortness 室温付近又はそれ以下の低温で,鉄鋼の衝撃値が急激に低下して,脆くなる性質。 G0201
等温変態曲線 isothermal transformation diagram, time temperature transformation diagram 各温度におけるオーステナイトの等温変態の開始及び終了を図示した一群の曲線。縦軸に温度,横軸に時間(対数目盛)をとって表す。 G0201
二次硬化 secondary hardening 焼入硬化後に加えられた一つ以上の焼戻処理によって得られる鉄鋼製品の硬化。
備考:この硬化は,残留オーステナイトからの化合物の析出,マルテンサイト又はベイナイトの生成によるもので,焼戻し中の分解又はこの焼戻しで不安定化された後の冷却によって変態したものである。より一般的には,焼戻しの際に生じる合金炭化物の析出によって再び硬化することを指す場合が多い。
G0201
熱処理 heat treatment 個体の鉄鋼製品が全体として又は部分的に熱サイクルにされされ,その性質及び/又は組織に変化をきたすような一連の操作。
備考:鉄鋼製品の化学成分がこの操作の間に変化することもある。
G0201
熱き裂 thermal crack 加熱又は冷却によって,直ちに又は遅れをもって鉄鋼製品に生じるき裂。
備考:一般に,き裂と言う用語は,加熱割れ,焼割れなど,き裂に現れる条件を示すことによって分類されている。
G0201
バーニング burning 結晶粒界の融合によって引き起こされる組織や性質の非可逆的な変化。
備考:後の熱処理や機械加工又は加工と熱処理の組合せの作業で,初めに持っていた諸性質を回復できない現象。
G0201
表面硬化処理 furface-hardening treatment 表面加熱後の焼入硬化処理。
備考:浸炭焼入れ,窒化,高周波焼入れ,炎焼入れなどがある。
G0201
変態 transformation 温度を上昇又は加工させた場合などに,ある結晶構造から他の結晶構造に変化する現象。
磁気変態のように必ずしも結晶構造の変化を伴わない物もある。
G0201
ボロナイジング boronizing 鉄鋼製品にほう化物の表面層を生成させることを目的として行われる熱化学処理。
備考:1. 例えば,パックほう化,ペイストほう化などほう化が行われる媒体を規定することが望ましい。
2. 耐摩耗性皮膜を作る。ほう化ともいう。
G0201
炎焼入れ flame hardening 熱源が炎である表面硬化処理。
備考:主に鉄鋼の任意の表面を焼入れする場合に用いる。
G0201
焼ならし normalizing オーステナイト化後空冷する熱処理。
備考:その目的は,前加工の影響を除去し,結晶核を微細化して,機械的性質を改善することである。鉄鋼の焼ならし加工は,JIS B 6911 に規定している。
G0201
焼なまし annealing 適切な温度に加熱及び均熱した後,室温に戻ったときに,平衡に近い組織状態になるような条件で冷却することからなる熱処理。
備考:この定義は非常に一般的であるので,処理の目的を規定する表現を使用することが推奨される。(光輝焼なまし,完全焼なまし,軟化焼なまし,変態域焼なまし,等温焼なまし及び変態点下焼なまし参照)。
G0201
焼入れ quenching 鉄鋼製品を静止空気中よりもより迅速に冷却することからなる操作。
備考:冷却条件を規定する用語の使用が推奨される。例えば,衝風冷却,水焼入れ,階段焼入れなど。
G0201
焼戻し tempering 一般に焼入硬化後,又は所要の性質を得るためお熱処理後に,特定の温度(Ac1未満)で,1回以上の回数均熱した後,適切な速度で冷却することからなる熱処理。
備考:焼戻しは,一般に硬さの低下をもたらす。しかし,硬度上昇を起こす場合もある(二次硬化参照)
G0201
繰返し焼戻し multiple tempering 高合金鋼,高速度鋼などのように,1回の焼戻しで効果が十分に上がらない場合に,焼戻しを2~3回繰り返す操作。 G0201
焼入性 hardenability 鋼がマルテンサイト又はベイナイトなどへ変態しやすいことによって焼入硬化が得やすいことを表す性能。
備考:焼入性は,通常,ジョミニー曲線のような,焼入れによって得られる硬化と焼入表面からの距離との関係で特徴づけられる。焼入性試験方法については,JIS G 0561 を用いると便利である。
G0201
焼入応力 quenching stress 焼入れで生じる残留応力。
備考:焼入応力には,内外部の冷却の時間的なずれに起因する熱応力と,変態に伴う変態応力とがあり,一般に両者が組み合わされて生じる。
G0201
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