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JIS Z 2381:2001「大気暴露試験方法通則」
JIS Z 2381(その1)目次に戻る。
【環境因子】
暴露試験に影響する気象因子,及び大気汚染因子のすべての環境因子を測定し,記録することが望ましい。試料の種類によって測定する環境因子の項目を附属書 3(参考)に示す。
暴露試験結果を評価するためには,暴露試験場の気象状況,大気汚染状況などを詳細に分析する必要がある。
【環境因子の測定】
環境因子の測定は,次による。
a) 環境因子の測定は,暴露試験場で行う。ただし,暴露試験場で測定できない気象因子については,最も近接した気象官署の観測資料によってもよい。その場合は,暴露試験場から気象官署までの距離,及び方角を明記する。
b) 環境因子の測定は,暴露試験期間の全期間を通じて行うことが望ましい。
c) 環境因子の測定に用いる装置,及び機器類の設置場所は,暴露試験装置の設置場所の近くとし,かつ,暴露試験場を代表する環境因子の測定に適した場所とする。
d) 気象因子としての気温,及び相対湿度を測定する機器の受感部は,百葉箱,又はこれに準じる装置内に設置する。
e) 暴露試験の目的によって重要でない因子については,当該項目の測定を省略してもよい。
【環境因子の測定項目,測定方法,及び表示方法】
環境因子の測定項目,測定方法,及び表示方法は,表2(測定項目,測定方法を抜粋,表示方法は省略)による。なお,測定値のけた数及び測定値の丸め方は,次による。
a) 太陽放射光の露光量:小数点以下2けたとする。
b) 気温,絶対湿度,日照時間,降水時間,降水量,及び風速:小数点以下1けたとする。
c) 相対湿度及びぬれ時間:整数位とする。
d) その他の因子:測定精度を考慮して,必要に応じて定める。
e) 測定値の丸め方:JIS Z 8401「数値の丸め方」による
表2 環境因子の測定項目,測定方法及び表示方法(測定項目,測定方法のみを抜粋)
気象因子
気温℃ :温度計を用いて,1日の気温を連続,又は8点以上の定時間間隔で測定する。
相対湿度 %:露点式湿度計,乾湿球湿度計,又は毛髪湿度計を用いて,1日の相対湿度を連続又は4点以上の定時間間隔で測定する。
絶対湿度g/m3:露点式湿度計を用いるか,又は気温と相対湿度の測定値から絶対湿度を求める。
日照時間 h:日照計を用い,1日の日照時間を測定する。
太陽放射光の露光量 MJ/m2:受光面を試料の暴露面と平行にした日射計,又は積算照度計を用い,1日の太陽放射光の露光量を測定する。ただし,紫外線などの特定波長域の太陽放射光の露光量は,選択波長フィルターを用いて測定する。
降水量 mm:雨量計を用い,1日の降水量を測定する。ただし,雪,あられなどが受水器内に積もったときは既知量の温水を注いで溶かし,水にして量った値から注いだ温水の量を減じて,降水量を求める。
降水時間 h:雨,雪の降り始めと降り終わりの時刻を測定し,1日の降水時間を求める。
結露時間 h:結露によるぬれ始めと乾いた時刻を測定し,結露時間を求める。
ぬれ時間 h:1日ごとに測定した降水時間と結露時間の合計を求める。
風向 16方位:風向計を用い,その日の風向を16方位に区分して測定する。
風速 m/s:風速計を用い,その日の風速を測定する。
環境汚染因子
硫黄酸化物付着量 mgSO2/(m2・d)
JIS Z 2382「大気環境の腐食性を評価するための環境汚染因子の測定」に規定する二酸化鉛プレート法,二酸化鉛円筒法,又はアルカリろ紙法によって測定する。
海塩粒子付着量 mgNaCl/(m2・d)
JIS Z 2382に規定するウエットキャンドル法,又はドライガーゼ法で測定する。
注:降水のpH,及び降水中のSO42−,NO3−,Cl−などの含有量を測定しておくことが望ましい。
備考1:暴露試験を行う試料の種類,及び暴露試験場の環境によって,次の大気汚染因子の測定を行うことが望ましい。
a) オゾン濃度
JIS B 7957「大気中のオキシダント自動計測器」に規定する化学発光法による自動計測器,又はそれと同等以上の精度をもつ測定方法によって,1日の平均濃度を求める。表示は,その月の日平均濃度の平均値(月平均濃度ppm)で表示する。
b) 二酸化硫黄濃度
JIS B 7952「大気中の二酸化硫黄自動計測器」に規定する溶液電導率法による自動計測器,又はそれと同等以上の精度をもつ測定方法によって,1日の平均濃度を求める。表示は,その月の日平均濃度の平均値(月平均濃度ppm)で表示する。
c) 硫化水素濃度
JIS K 0108「排ガス中の硫化水素分析方法」に規定する吸光光度法(メチレンブルー法)に準じて測定するか,又はそれと同等以上の精度をもつ測定方法によって,1日の平均濃度を求める。表示は,その月の日平均濃度の平均値(月平均濃度ppm)で表示する。
d) 二酸化窒素濃度
JIS B 7953「大気中の窒素酸化物自動計測器」に規定する吸光光度法による自動計測器,又はそれと同等以上の精度をもつ測定方法によって,1日の平均濃度を求める。表示は,その月の日平均濃度の平均値(月平均濃度ppm)で表示する。
備考2:特定波長域の太陽放射光の露光量 全天日射計及び直達日射計は,太陽放射エネルギーの総量を測定するので,紫外線量,可視光線量及び赤外線量も測定値に含まれる。
赤外線は,暴露された試料の温度に影響を及ぼすが,プラスチック,塗膜などの有機質の試料の耐候性における直接の光化学的効果は少ないので,光化学的に活性な波長域,すなわち,基本的には紫外線域の太陽放射光の露光量を測定することが望ましい。
紫外線量の測定機器は,JIS K 7363「プラスチック−耐候性試験における放射露光量の機器測定−通則及び基本的測定方法」の規定による。
【その他の測定項目】
暴露試験方法の種類又は暴露試験の目的によっては,必要に応じて,次の測定を行う。
a) ブラックパネル温度
バイメタル,白金抵抗体,サーミスタ,熱電対などの感熱体を黒色処理した金属板の中心に一致させて取り付け,感熱体保護管を固定した構造の感熱部を備えた温度計を用いて測定する。
備考:ブラックパネル温度計の構造は,JIS B 7753「サンシャインカーボンアーク灯式耐光性及び耐候性試験機」の5.5(2)ブラックパネル温度計の規定による。
b) ホワイトパネル温度
バイメタル,白金抵抗体,サーミスタ,熱電対などの感熱体を白色処理した金属板の中心に一致させて取り付け,感熱体保護管を固定した構造の感熱部を備えた温度計を用いて測定する。
c) 試料の表面温度
白金抵抗体,熱電対などの温度センサーを試料の表面に取り付け,試料の表面温度を測定する。
【環境因子の測定機器及び管理】
環境因子の測定に用いる機器及びその管理は,次による。
a) 気象因子を測定する機器は,気象業務法(昭和27年法律第165号)に基づく気象測器検定規則(昭和27年運輸省令第102号)に適合するものを用いる。ただし,結露時間など気象業務法に規定のない気象因子の測定は,正確に測定できる機器を用いる。
b) 大気汚染因子を測定する機器は,日本工業規格,及び国際規格(ISO,IEC など)に規定されている場合は,それに従う。規定がない場合は,大気汚染因子の成分,濃度などの測定が正確に測定できる機器を用いる。
c) 測定機器の管理は,次による。
1) 気象因子の測定に用いる測定機器類は,気象業務法に基づく気象測器検定規則に適合するように管理する。
2) 大気汚染因子の測定に用いる測定機器類は,測定値の信頼性を維持するため,定期的に検査・校正を行い,その精度を適切に管理する。
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