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JIS Z 2382:1998「大気環境の腐食性を評価するための環境汚染因子の測定」
JIS Z 2382(その1)目次に戻る。
【ドライガーゼ法による塩化物の測定】
【原理】
一定面積をもつ2枚重ねのガーゼを,雨を遮断して暴露すると,ガーゼ表面に塩化物が捕集される。この塩化物を化学分析によって定量する。
分析結果から,塩化物の付着度を計算し,平方メートル・日当たりのミリグラム[mg/(m2・d)]で表す。
【測定装置】
ドライガーゼプレートの作製
ドライガーゼプレートは,次によって作製する。
a) 捕集枠
外寸法150×150mm,内寸法100×100mmの木製の外枠に,外寸法120×120mm,内寸法100×100mmの木製の内枠をはめ込み式にしたものを用いる。捕集面積は,両面を合わせて200cm2とする。
b) ガーゼの調製
ガーゼは120×240mmの大きさに切り,水で十分に塩化物を浸出した後,よく乾燥させ,使用時までポリエチレン袋に入れて保存する。
c) ドライガーゼプレートの組立て
暴露直前に,b) で調製したガーゼを二つ折りにし,しわが生じないようにa) の捕集枠に取り付ける。
暴露装置
暴露装置は,次のとおりとする。
a) 図(省略)に例示したように,直射日光及び雨雪を遮断できる構造のもの。
b) ドライガーゼプレートを垂直に,所定の位置に保持できる保持具を備えていること。ドライガーゼプレートの低端が地上から1~1.2mの位置であることが望ましい。
c) ドライガーゼプレート面への風通しを妨げない構造であること。
【ドライガーゼプレートの暴露】
ドライガーゼプレートの暴露は,次のとおり行う。
a) 暴露場所は,試験片を暴露する暴露試験装置の近くであることが望ましい。
b) ドライガーゼプレートを暴露装置に取り付け,風で揺れないようにしっかりと固定する。
c) 暴露期間は1か月とし,通常,各月の1日に暴露を開始し翌月の1日に回収する。
d) 暴露を終了したガーゼは,捕集枠から取り外し,ポリエチレン袋に入れて分析するまで保管する。
【塩化物の分析】
分析は,次のとおり行う。
原理
試料中の塩化物イオンは,チオシアン酸水銀 (II) を用いた吸光光度法,又はイオンクロマトグラフ法によって定量する。
試料溶液の調製
ガーゼを細かく切断し100mlのビーカーに入れ,水50mlを加えて水浴中で20分間加熱する。冷却した後,JIS P 3801「ろ紙(化学分析用)」の5種cのろ紙を用いてろ過し,さらに水でろ紙を洗浄してろ液を50mlとして,試料溶液 I を調製する。
次に,暴露したガーゼと同時に調製した未暴露のガーゼについて同様に操作し,試料溶液 II を調製する。
分析
分析操作は,試料溶液 I,及び II について,次の吸光光度法,又はイオンクロマトグラフ分析法によって,試料溶液中の塩素イオンを定量分析する。
a) チオシアン酸水銀(II)吸光光度法
JIS K 0101「工業用水試験方法」の32.1[チオシアン酸水銀(II)吸光光度法]による。
b) イオンクロマトグラフ分析法
JIS K 0101の32.5(イオンクロマトグラフ法)による。
表示
分析結果は,次の式によって計算し,R (NaCl) [NaCl・mg/ (m2・d)]で表わす。
R (NaCl)=41.2(C1-C2)×100×1/t
ここに,R (NaCl):塩化物の付着度[NaCl・mg/ (m2・d)]
C1:試験溶液 I の塩素イオン濃度 (mg/l)
C2:試験溶液 II の塩素イオン濃度 (mg/l)
t:暴露期間 (d)
41.2:(NaClの式量/Clの原試料)×50ml×(100cm2/200cm2)
100:10000cm2/100cm2
イオンクロマトグラフ法
R (NaCl) =0.824(C1-C2)×1/t
ここに,R (NaCl):塩化物の付着度[NaCl・mg/ (m2・d)]
C1:試験溶液 I の塩素イオン濃度 (mg/l)
C2:試験溶液 II の塩素イオン濃度 (mg/l)
t:暴露期間 (d)
0.824:(NaClの式量/Clの原試料)×(100ml/1000ml)×(100cm2/200cm2)×(10000cm2/100cm2)
【記録】
次の事項について記録する。
a) 汚染物質の測定場所の所在地
b) 測定した汚染物質の種類
c) 測定方法
d) 測定開始日,終了日及び測定期間
e) 測定結果
f) 測定を中断した期間及びその理由と処置
g) 測定期間中の暴風雨など特記事項
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